福岡県直方市で創業した長谷川仏具店
(株)はせがわは1966年(昭和41年)12月設立された仏壇製造販売を主たる事業とする企業である。現在では、年商約212億円(2009年3月期連結ベース)大証第二部・福証に上場するまでに成長を遂げている。しかしながら、その企業歴史は順風満帆と言えず、多角化の失敗など幾多の試練を経験している。本稿では、なぜ多角化に乗り出したのか、また失敗した原因などについて検証するとともに同社の現況、先行き見通しについて研究してみることとする。
(株)はせがわの創業は1929年(昭和4年)、福岡県直方市で現代表取締役会長である長谷川裕一氏の父である先代社長・長谷川才蔵氏(故人)が、「長谷川仏具店」を開いたことに始まる。53年には仏壇の製造に乗り出すが、当時の店舗は15坪の広さしかなく、年商は約1,000万円程度だったという。その家業「長谷川仏具店」に、63年に龍谷大学文学部仏教学科を卒業した長谷川裕一氏が入社している。66年には、販売部門を「(株)長谷川仏壇店」に、製造部門を「(株)長谷川仏壇製作所」に改組し、家業から企業へと転換したのである。
76年4月には社名を「(株)はせがわ」に変更し、同年5月に本部機能を福岡市博多区に移転した。79年、関東進出1号店として川口芝店(埼玉県)を開店したことを皮切りに、積極的な出店で店舗網を拡大したのである。そして、仏壇業界で初めて88年11月、福岡証券取引所上場、94年11月には大阪証券取引所上場を果たした。その後は年々信用度を高めて、業界トップ売上高を維持してきたのである。技術力では国内トップを誇り、店舗数は115店舗、従業員数も連結815名、単独736名(いずれも09年3月31日現在)を数えている。同社の積極的な店舗展開により、特に関東地区での直営店舗網の形成が功を奏したのであったが…。
【久米 一郎】
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