東京都心部および横浜地区では、三井ホーム(株)、住友林業(株)の受注は回復しているとのこと。また積水化学工業(株)は、環境問題がこれほど危機感を持って叫ばれる以前から、地下蓄熱設備を擁した太陽熱電池装備住宅に取り組み、すでに実装率70%超にまで普及させている。九州地区でも、戸建持ち家住宅トップの座を積水ハウス(株)から奪い取った。
また、大和ハウス工業(株)が8月7日に発表した09年4~6月期の連結決算では、純利益が前年同期比3.6倍の80億円となった。売上高は前年同期比6%増の3兆7,774億円、営業利益も前年同期比3倍の138億円と大幅増益となった。今期から1,000万円以上の戸建住宅や開発案件の会計処理を、従来の工事完成基準から工事進行基準に変更したことが、大幅な増益につながった。マンションやアパートの販売は厳しかったが、得意とする商業施設事業は好調であり、この分野は工事進行基準を適用しなくても増収増益であった。マンション事業は着工延期や価格の見直しなどで状況は厳しく、年内いっぱいは在庫処理を最優先させるとしている。
同社は、従来の商品に比べて利益率の高い商品開発に努めており、これらの収益が寄与して2010年3月期通期の決算業績見通しを、上方修正する可能性が強くなったという。
<凋落の一途をたどる積水、その原因は内部に>
未曾有の経済不況の最中でも、前述の住宅メーカーは活路を見いだし、一点集中で危機を突破しつつある。しかし、これまで業界の雄であった積水ハウスの凋落ぶりは、目を覆わんばかりだ。
2010年2~7月期の売上高は、従来の予想を350億円下回り、前年同期比15%減の6,650億円に修正すると発表した。営業利益も従来予想を95億円も下回り、わずか10億円(前年同期は509億円)と大きく落ち込む。連結最終損益は前年同期の280億円の黒字から一転、41億円の赤字(従来予想は16億円の黒字)に転落する見込みだ(【表2】参照)。
マンションの売れ行きが想定以上に悪化しているうえ、今年6月4日から始まった長期耐久性能住宅向け住宅ローン減税拡充などの優遇策が、あまり奏功しなかったことがその理由として挙げられる。消費者の認知度がまだ低く、認定の申請窓口となる地方自治体でも対応にばらつきがあることから、売上回復への起爆剤にはならなかったようだ。
マンション、戸建住宅などの受注は2~6月で前年同期に比べて30%程度落ち込んでいる。滋賀工場閉鎖に伴う設備の除却損や、早期退職者向けの割増し退職金などの構造改革費用42億円は期初の経営計画に盛り込まれてはいたものの、さらに投資有価証券評価損などを特別損失に計上したことも響いたと説明している。
【徳島 盛】
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