今年6月19日、特定地域のタクシー事業適正化・活性化特別措置法(タクシー適正化特措法)が成立し、10月1日より施行される運びとなった。この法律により、タクシーが供給過剰とみなされる地域は「特定地域」に指定され、新規参入や増車ができなくなる見通しだ。この法案に真っ向から反対しつづけてきたMKグループ(本社:京都市)の福岡MKタクシー代表・青木義明氏に、タクシー適正化特措法および総選挙を控えた現在の政治状況について意見を述べてもらった。
青木 タクシー適正化特措法は、タクシー業界が再規制してほしいという要望のもと成立しました。30万人近くがタクシー業界で働いていますが、こういう人たちの票が取り込めるという期待が自民党にも民主党にもあるわけですよ。95%以上のタクシー業界の経営者・労働者が規制しようと言っていますから。そういう点で、自民党も民主党も私から見れば同じです。
これは、私から言わせれば自由競争、職業選択の自由を阻害する憲法違反です。自由主義社会を完全にバカにした話です。業界・政治家・官僚の三者が組んで経済をコントロールしており、消費者の目線がまったく不在です。政策者の言うことを聞いて政策を行なうのは、本当に強権的で危ないですよ。
安くてサービスが良いタクシー会社を消費者は望んでいるはずです。しかし、今のタクシー業界は、規制緩和で新規参入が増えて給料が下がり、過労運転させているというプロパガンダで消費者に再規制への賛同を求めています。
今さらあれこれ言っても仕方ありませんが、日本は法治国家ですから、法として有効かどうかを考える必要があります。たしかに法律としては成立しましたが、こんなものを作った政治家や官僚は日本国憲法をバカにしているとはっきり言いたい。安くて良いサービスの会社が悪者になるわけです。法を犯しているわけでもないのに。既得権益を持つ者が有利になるような法は絶対におかしいと思います。
~つづく~
【文・構成:大根田康介】
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