しかし、積水ハウスが現在置かれている状況は、こうした外部環境の影響というよりは、むしろ同社の内部の問題ではないか、との指摘が多く聞かれる。 和田勇氏(代表取締役会長兼CEO)が98年に社長に就任した際の、バランスシート上の販売用棚卸資産は5,283億円。現在はその当時より2,000億円以上も膨らんでおり、09年1月末時点で7,378億円にまで積みあがっている(【表3・4】参照)。これらの土地は、和田氏が社長就任直後に『紹介販売比率70%・シェア10%確保』の檄を飛ばし、「新設住宅着工戸数が減少しても、シェアを伸ばしていけば積水ハウスだけは売上増を確保していける」と社員だけでなく、協力業者にも強い締め付けが課された。
紹介販売の比率は03年1月期の55.7%をピークに減少を続け、直近のそれは35.3%と下落が止まらない。ピーク時には九州営業本部でも60%前後を記録し、東北・静岡・滋賀・山口の各工場周辺地区は工場従業員からの紹介で軒並み70%前後を維持。マーケットシェアも25~30%近くを維持していたのにも関わらず、後述のタマホーム以下ローコスト住宅メーカーに、将来の需要層を青田買いされてしまっている。
【徳島 盛】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら