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上場企業を斬る

(株)はせがわ 研究(3)~裏目に出た国内外での多角化戦略―その2
上場企業を斬る
2009年8月26日 10:14

<多角化事業の失敗>
 一方、国内では1990年にホームセンターのカインズとフランチャイズチェーン契約を締結し2店舗を経営したものの、売場面積が狭く大型店に打ち勝つだけの力がなく、採算が取れずに97年にホームセンター事業からの撤退を余儀なくされた。たしかに、株式上場を果たし対外的にも高い信用を得たのではあったが、所詮は土俵が異なるとの指摘もあった。また、新規事業分野での参入に際し、専門スタッフを入れて対応したが、内部での意見不統一も指摘された。
 既述のとおり、同社の中国への異業種進出(弁当事業、アミューズメント事業、パン製造販売事業)を皮切りに、ベトナムやミャンマーに進出する一方、国内でもホームセンターやアミューズメント事業に乗り出し、本業の店舗も全国展開を図った。ところが、海外事業、特に中国でのアミューズメント事業が2000年をピークにボーリング熱が急激に冷え込み、01年には撤退を余儀なくされたのである。その後も国内外の異業種事業の子会社対策に追われ、02年3月期から本体事業も子会社事業も3期連続して赤字に陥った。04年3月期は特に本業が12億6,100万円の赤字に陥り、04年4月には本業回帰を謳った「新中期事業計画」をスタートさせたのである。本業の赤字原因であった不採算店を、05年3月期に24店舗も閉鎖するというオオナタを振るって立て直しを図っている。その結果、本業の売上高もようやく08年3月期から回復基調となっている。
 09年3月19日開催の取締役会において、ミャンマー連邦におけるホテルへの投資事業及びサービスアパートへの投資事業に関する関係会社等の株式及び貸付金を譲渡することを決議し、譲渡契約を締結した。譲渡理由は、同社企業グループの基本方針である「本業回帰」に基づき、非本業の整理を推進するものであり、本件譲渡を以って、非本業事業の整理が完了したのである。
 また、同社の連結子会社である(株)ホームセンターコマツ及び(株)フォーチュンについては、清算手続きを進めていたが、09年7月30日に清算が決了した旨の開示がなされている。

~つづく~

【久米 一郎】


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