国土交通省の国土技術政策総合研究所によると、東京・神奈川・茨城・千葉・埼玉各県の生コンクリート工業組合、広島大学、独立行政法人建築研究所の産学官共同で、ICタグを活用したコンクリート偽装防止の研究に入ったことが判った。
2008年7月、生コンクリート製造の六会コンクリート(神奈川県藤沢市)が、JISに適合しない生コンを規格品と偽り、神奈川県内の196ヵ所の現場に納入していたことが発覚した。さらにこれらの現場のうち5ヵ所でポップアウト現象(打設後のコンクリートの表面が剥がれ落ちる現象)が発見されている。
今回の研究は、この件の再発防止に向けた対策の一環。ICタグを活用して、コンクリート製造→運搬→荷卸→施工(打設)およびコンクリート硬化後の品質検査、そして瑕疵責任に至るまでの履歴情報を、記録・保存するトレーサビリティ確保技術の開発および実用化を目指す。ちなみに、近時食品偽装が横行した食品・流通業界では、すでにICタグでの品質管理が導入されている。
品質偽装防止策をはじめ、品質管理や検査などの合理化・省力化も見込まれ、製造者のみならず使う側にも大きなメリットがあるといえよう。ただし、このICタグ導入におけるコストについては、今のところ判明していない。
【河原 清明】
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