公文書の改ざんに続いて、市業務の執行そのものが疑われる事態が判明した。
25日に判明した福岡市総務企画局による「出張復命書」改ざん問題には、刑法上の「虚偽公文書作成」の疑いまで浮上した(記事参照)。保存されている行政文書を勝手に変造するという行為は、福岡市の公文書に関する信頼性を一気に失墜させる。全ての公文書に改ざんの可能性が生じるからだ。さらに、公文書は執行された業務の証拠・証明であるため、業務の信頼性をも否定することになる。しかし、文書改ざん以前に、業務執行の正当性に疑義を抱かせる重大な問題が明らかになった。
新たに分かったのは、今回の問題を引き起こしたスリランカへの出張命令書自体の「瑕疵」である。「杜撰」で片付けられるほど生やさしいものではない。役所の業務遂行上、あり得ない文書の体裁に、関係者からも驚きの声が上がっている。
記事に添付した2枚の「旅行命令書」(以下、出張命令と表記)をよく見ると、命令書の左上部に「命令(依頼)日」の欄がある。出張命令が出された日を記す箇所なのだが、この2枚とも「平成19年3月27日」に命令が出されている。18年度の命令ということだ。
しかし、旅行期間は「平成20年3月30日から平成20年4月8日」となっている。これは「あり得ないこと」(福岡市OB談)なのだ。
平成18年度に出された出張命令によって、翌年度に出張することは不可能。なぜなら、18年度の命令なら同年度の予算を使って出張しなければならないからだ。平成20年3月30日の出張なら、平成19年度の予算でしか出張費の支出はできない。従って、出張命令は平成19年度になって出されていなければならないのである。
さらに言うなら、平成20年3月に行われたスリランカ出張は、正式な命令書が存在していないことにもなる。
データマックス取材班の確認に対し、福岡市総務企画局国際部の担当課長は、問題の出張命令書が間違いであることを認めている。正式な命令なき海外出張など許されるはずがない。
次週、今回の公文書改ざんと、命令なき海外出張について、さらに検証を進めていく。
旅行命令(依頼)書 (クリックで拡大します) |
(つづく)
【市政取材班】
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