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上場企業を斬る

市場を見極められず後退局面続く 積水ハウスに今何が起きているのか(5)
上場企業を斬る
2009年8月28日 08:00

<従業員に漂う閉塞感、海外戦略への社内批判も>

 どういった商品分野でも、後発企業が先発グループの「二番煎じ」をやったところで、よほどの差別化ができなければ上手くいくことはない。積水ハウス創業以来のコア事業である鉄骨工業化認定住宅の戸建住宅部門と、低層アパート部門の低落傾向に歯止めがかからなくなってきている。「サスティナブル・タウン」と称した街づくり用地の購入に号令がかかり、全国に戸建住宅分譲地を抱え込んだ。東京・大阪・名古屋などに都市開発用の用地を大量購入した結果が、上述した販売用資産の膨張である。
 05年頃から積極的に注力し始めた『都市開発事業』は、06年1月期の売上が386億円、07年1月期792億円、08年1月期753億円とほぼ順調に推移してきたが、09年1月期は599億円に減少し、2010年1月期の予想はわずか17億円まで細る見込みだ。
 また、不動産関連事業の営業利益をみても、07年1月期529億円、08年1月期577億円と順調に推移し、コア事業の不振を補って余りあったものが、09年1月期に332億円と急減。2010年1月期は50億円にまで激減する見通しとなっている。
 08年1月期の決算直後は同社の管理職の誰に聞いても、空前の利益達成にも浮かれた表情を見せず、異口同音に『コア事業の建て直し』という言葉が上がっていた。「不動産関連事業が牽引車となっている間に、コア事業の再建を実現する」というのが全社のコンセンサスになっていたのであろうが、ミニバブルが弾け、さらにリーマン・ショック以降の世界同時不況の影響が追い討ちをかけた。雇用不安や所得減少に消費者がおののいている昨今、積水ハウスが掲げた「10%のマーケットシェア確保で、一人勝ちの成長を実現する」という戦略も夢に終わってしまったようである。
 マーケットシェアを減らしていくなかで工場稼働率を維持できず、ついに滋賀工場の閉鎖を決定した。同工場の従業員たちも、家庭の事情などで他工場への転勤を受け入れられない人々が多い。社内が閉塞感で覆われつつある。同社が先月発表したオーストラリア進出についても、半年程前、同社の社員の方から弊社宛に、海外進出を図る和田会長に対する批判的な投稿をいただいた。国内事業が不振を極めつつあるなかでの『国外逃避』と捉えているようである。オーストラリアの前にはドバイ進出の話があった。さらにロシア進出も検討中で、海外案件は全て和田会長の所管になっているようであるが、本業回帰が優先ではないかという厳しい批判であった。

(了)

【徳島 盛】


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