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医療の現場最前線からの提言!(2) ストレスフリーを目指した社会の構築を
特別取材
2009年8月10日 15:50

 博多駅近くに開院して15年目を迎える「蔵本ウイメンズクリニック」。開院以来、不妊治療を専門とし、これまでに一般不妊治療、高度生殖医療を合わせて7,192人(2009年7月29日現在)の患者さんが妊娠されている。同クリニックの蔵本院長は、オーストラリアをはじめとした海外の不妊治療の現場で学んだ仕組みを日本になじむようにアレンジし、日々、不妊に悩む患者さんと向き合っている。患者さんの心のケアやさまざまな観点からの治療を目指した『チーム医療』をモットーとし、同クリニックには、そうした専門スタッフが40数名も在籍している。また、安全管理第一を掲げ、『ISO9001:2008』も取得し、細心の注意を払った治療が行なわれている。
 「ここ最近は晩婚化が進んでおり、不妊治療患者年齢も上がっています。現在、当院では40代の患者さんが4割弱にもなっている。そういった年齢になると、治療をやめることも視野に入れながらの治療となります。残念ながら、女性が一生の間に妊娠できる期間というのは、約20数年しかありません。年齢を重ねるに応じて、卵子の数も減少していき、20代後半から徐々に減少していき、35代の半ばからは急激に減少していきます。当院では、そうした30代後半の患者さんが圧倒的に多いですね。そうした方々は、妊娠しづらいことへのジレンマ、精神的な問題を抱えており、また、パートまで含みますと約6割が仕事を持たれています。仕事との両立も考え、生活のリズムを見ながら、いっしょにやっていかなくてはなりません。そういったことから、ストレスがたまりやすくなり、うつ状態になる方も多いです。たとえば、40代の半ばで結婚され、そういった方の相談も増えています。医学的な見地では、40代における不妊治療は時間との勝負ともいえます。20代であれば、5、6年を見越した治療も考えられますが、40代ではそうもいかないのが現実です。そういった観点から、社会的に年々、不妊治療が難しくなっている状況といえます」と不妊治療の現状を語る蔵本院長。
 少子高齢化の大きな要因として『晩婚化』が挙げられているが、それが不妊症の増加にもつながっているようだ。
 「若いころは比較的、毎回質のよい卵子ができることが多いのですが、年齢を重ねていくと、なかなか質のよい卵子がとれなくなってきますので、治療・妊娠も難しくなるわけです。質のよい卵子ができる要因として、精神の安定も大きな割合を占めます。ですから、不妊治療にストレスは大敵です。ただでさえ、妊娠できない不安を抱く患者さんが、社会や職場でのストレスが加われば、さらに状況は悪化していきます。ですから、国には安心して子どもを産める環境の整備は急務だと思います。仕事を持つ女性が無理をせずに育児が可能な体制、そして託児所や保育士の充実。それと、夫婦が第2子を出産したくなるような社会環境づくりも重要です。子どもへの助成金の増加をはじめ、男女ともに育児休暇を取りやすくする社会体制や負担の少ない教育費の仕組み。また、今以上に男女の出会い・結婚の機会を増やすことが求められています」(蔵本院長)。現状でも実施されているが、まだまだ十分とはいえず、さらなる環境整備の必要性が高い。
 さらに、実際に不妊治療を行なっている患者さんたちへの支援にも、こう提言している。「現行の高度生殖医療を受ける患者さんたちへの助成金制度を、さらに充実させてほしい。助成金の増額もですが、現行では1年間に2回までしか助成されず、現場としては3回に増やしてほしいのです。これにより、妊娠の可能性もかなり高まると考えられています。また、助成金の受給対象者への所得制限の緩和です。治療にはそれなりの費用がかかりますから、現在の所得制限では治療に二の足を踏む方々も少なくありません。それが原因であきらめるケースも多いのです。そのほかにも、世界で安全性も有効性も認められている不妊治療薬の認可や、妊娠可能年齢の夫婦の10~15%は存在する不妊症の現状をふまえた予防啓蒙運動にも力を入れてもらいたいです。この数字は、非常に高い水準なのです」。
 常に患者さんを中心とし、尊重した治療を行なっている蔵本院長。最後に、「最終的に、治療を継続するのも、やめるのも患者さんの意思。それを一番に考えています」としている。そんな患者さんたちのストレスをなくしていける社会を目指さなくてはならないだろう。


■蔵本ウイメンズクリニック
<院長プロフィール>
蔵本 武志(くらもと たけし) 医学博士
昭和27年4月29日生まれ 山口県柳井市出身
昭和54年 久留米大学医学部卒業
      山口大学医学部附属病院医員(産婦人科研修医)
昭和60年 山口大学大学院修了 学位記授与(山口大学医学博士)
      山口県立中央病院産婦人科副部長
昭和62年 日本産婦人科学会認定医
昭和63年 済生会下関総合病院産婦人科部長
平成2年 オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学
     その他、世界各国の体外受精センター15施設にて研修等を受ける
平成7年 蔵本ウイメンズクリニック開院
     日本初の人工精液瘤からの精子を用いた顕微授精に成功

<所属学会等>
・日本産科婦人科学会専門医 ・日本生殖医学会評議員 ・日本受精着床学会評議員
・日本不妊カウンセリング学会監事 ・アメリカ、ヨーロッパ生殖医学会(ASRM、ESHRE)会員
・博多区医師会監事 ・JISART理事 ・福岡生殖医学懇話会 代表世話人
・日本生殖医学会生殖医療専門医 ・九州大学特任講師

福岡市博多区博多駅前東1-1-19
TEL:092-482-5558
FAX:092-482-1415
診療科目:婦人科
診療日:午前9:00~12:00(月~土) 午後14:30~17:00(月火木土)
※日曜、祝祭日休診
URL:http://www.kuramoto.or.jp/


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