今回の総選挙は、序盤から反自民の風の中、民主党有利という声が各選挙区から聞かれていた。死闘を繰り広げた福岡6区では、久留米を代表する企業・ブリヂストンからの支援を受ける鳩山氏有利の声が大きかった。しかし、テレビや新聞などの事前情報ではどちらが有利か判断のつきかねない状況が続いていた。
結果からすると、福岡6区の本丸でもある久留米市で票が分かれた。小選挙区で敗北した古賀一成氏(比例区で復活当選)も、会見で「(鳩山氏と)お互いに自民党批判を繰り広げる選挙となり苦戦した。50%ほどは向こう(鳩山陣営)に流れたいのではないか?」と述べるほどで、最終的にはかんぽの宿で総務大臣を辞任した鳩山氏が勝利した。
選挙演説の中で民主党のみならず自分の所属政党である自民党を批判し、”反自民”層をうまく取り込めた事も勝因の一つとしてあげられる。今回の福岡6区における投票動向においては、前回の選挙で1万4,000票近くを獲得した共産党の票がどのように流れるかも注目されていた。「選挙の看板立て(ポスター) の際、共産党には配慮した。共産党の看板の近くにはあえて出さないようにした」(古賀氏関係者)など、共産党への配慮もあったが古賀氏の票は鳩山氏に届かなかった。
自民党に所属していながら自分の党を批判するという巧みな選挙戦略を展開した鳩山氏。無所属ではなく、自分が所属する党を批判して選挙に勝利した鳩山陣営。「自民党をぶっ壊す」として自民党を延命させた小泉元首相と同じことをやったに過ぎない。
言葉通り、自民党は崩壊した。今後は、鳩山氏が野党の立場でどのような仕事をするのか注目していきたい。
【総選挙取材班】
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