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特別取材

(株)幻冬舎 代表取締役社長 見城 徹 氏 「熱狂」(1)
特別取材
2009年8月11日 08:01

 この20年間、出版界は「冬の時代」と言われてきた。100年に1度とも言われる世界的不況に見舞われた今、冬の凍てつきはさらに鋭くその牙を剥く。しかし、作家・五木寛之氏が「冬に耐え強い芽を」という意味を込めたその名のとおり、幻冬舎・見城徹氏は、その「熱狂」で極寒の冬をつぎつぎと『幻』にしていく―

スムーズに進んだ仕事は、疑え。

  ―雑誌が低迷するなかで、この3月に敢えて女性誌『GINGER(ジンジャー)』を投入されました。
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 見城 ひとつには、グラビアの、ちゃんとした女性雑誌がなければ出版社として成立していかないという思いがあったわけ。出版界というのは、先行する、歴史ある大手出版社に都合よく制度ができている、ものすごく既得権が強いところなんです。だから新しくできた出版社は、これ以上闘いようがないという劣悪な条件を最初からハンディキャップとして押し付けられる。16年前に設立したとき、100人が100人とも「すぐに潰れる」と言ったんだ。「やめたほうがいい」と。
 僕が角川書店にいた頃、角川というブランドがあるから書く、という人とは仕事をしない、と自分に課して来たつもりなのね。角川には書かない、角川なんか知らねぇよ、という人たちと仕事をしてナンボだと。だから、幻冬舎という全く無名の出版社を16年前に創ったときも、角川でもそのブランドが通用しない仕事を敢えてやってきたわけだから、たとえ無名の出版社であってもみんな書いてくれる、という自負はあった。
 というのも僕は、難しい仕事でなければ仕事じゃないと思っているわけ。『スムーズに進んだ仕事は疑え』といつも言っているし、難しい仕事でなければやる意味がない。仕事というのは本来、イバラの道を往かなきゃダメなんだ。楽なところを往けば楽な結果しか出ない、表面的なことをやれば表面的な結果、小手先でやれば小手先の結果しか出ない。そんな仕事をただ時間だけをかけてやって、「仕事をした」と思ってしまうのが一番危ないこと。人が「無理だ、不可能だ、無謀だ」ということを選んでやっていけば、上手くいったときに鮮やかだし、大きな収穫があると思っているんですね。
 僕はこれまで一貫してその姿勢で仕事をしてきた。中学・高校時代を振り返っても、例えばテストだったら表面的な点数なんてどうでもよくて、一番難しい問題から手をつける、そういう子どもだった。英語なら英文法なんかはあとまわし。最初に英作文をやった。難しいから配点が高いよね。英作文をやって、英文解釈をやって、英文法をやる時間がなくなって時間切れになっても構わない、という姿勢でやってきた。大学入試のときは別だったけど。難しいこと、困難が予想されること、それをやってはじめて「仕事だ」と思っているんです。
 だから、角川でも敢えて難しいところをやったし、これだけの既得権に立ちはだかられている出版界で幻冬舎をはじめることもイバラの道ではありました。ただ自分は「ニッチなことはやらない」と、幻冬舎を創るときに決めたんです。たとえばバイクだけの雑誌、環境だけの雑誌をやるとか、大手出版社がやらないようなニッチなビジネスをやって生き延びてもしょうがない。だから単行本を最初に出し、3年で文庫を出し、ノベルスを出し、新書を出し、ムックを出し、そして文芸誌『パピルス』を出し、男性誌『GOETHE(ゲーテ)』を出し、女性誌の『GINGER』を出す。それは僕の最初からの見取り図であり設計図なので、それをガチンコでやっていく。それが、大手とがっぷりよっつで闘っていく第一歩だと思っているんです。

~つづく~

【取材・文・構成:烏丸 哲人】


見城 徹 (けんじょう・とおる) 氏

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1950年12月29日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、75年に株式会社角川書店入社。『野性時代』副編集長を経て、85年に『月刊カドカワ』編集長。直木賞作品5本を含め、数多くのベストセラー作品を送り出す。93年、同社取締役編集部長を最後に退社。同年11月13日、株式会社幻冬舎を設立。『弟』(石原慎太郎)、『大河の一滴』(五木寛之)、『ダディ』(郷ひろみ)などのミリオンセラー作品を自ら担当編集者として手がけ、経営者でありながら、今なお編集・宣伝・営業の第一線に立つ。とくにその斬新な広告やプロモーションは、業界の常識を変えたと評される。一方、映画やテレビドラマの企画・プロデューサーとしても活躍、その動向は各界の注目を浴びている。

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