古い自民党の象徴である利益誘導型政治を続けるか、あるいは暮らしや教育という身近なことへの税金投入を増やす新しい政治スタイルをめざすのか。福岡7区の対決は、有権者がそのどちらを選ぶのかという構図でもある。前者の代表が自民党・古賀誠元幹事長であり、後者が民主党・野田国義元八女市長であることは言うまでもない。ミスター公共事業VS生活者代表ということだ。
当然、公共事業に対する考え方には大きな違いがある。古賀氏は「朧大橋」や「有明海沿岸道路」に代表されるように、大型土木事業の実現を地元政治活動の柱にしてきた。「インフラ整備」による地域社会の発展を目指す手法である。自らが実現させた数々の公共事業について「九州一」と公言する。
対する野田氏は古賀氏の元秘書でありながら、公共事業のあり方も変えようという考え方に立つ。生活直結の公共事業を充実させ、暮らしに税金を活かそうとするものだ。言い換えれば、大手ゼネコンに頼らず、地場業者だけでやれる規模の工事を指向するということになる。
31日、自民党のマニフェストが発表され、各党の政策が出そろった。民主党は、予算の組み替えを行うことで税金のムダづかいをなくし、「生活が第一」の政治、行政を実現するとしている。子育て支援策として、中学生までの子どもに月額2万6,000円の支給、農家への戸別所得補償制度、高速道路無料化など有権者の気持ちをくすぐる施策が並ぶ。しかし、財源についての不透明感は否めない。
一方、現実路線で「安心社会」「責任」を強調する自民党のマニフェストには、残念ながら新鮮味がない。
総選挙に向けた論戦のなかで、古賀、野田の両氏がどのような国やふるさとの未来像を打ち出していくのか、考え方も立場も違う2人の訴えのどちらを良しとするのか、福岡7区の選択が注目される。