2010年末までに総投資額4兆元(約57兆円)にのぼる大規模な景気刺激策を行なう中国が東アジア経済を牽引しているといっても過言ではない。昨年9月の金融危機に端を発した世界景気の低迷を受けて、中国政府は巨額の公共投資で内需を拡大する政策を、世界各国に先駆けて実行した。
韓国の電気メーカー最大手のサムスン電子の2009年4-6月期連結決算は、中国向けの液晶テレビや携帯電話といった家電製品の販売が好調で、金融危機以前の業績を超える「V字回復」を果たした。また、2009年1-3月には営業赤字を計上した半導体・液晶パネル部門も、製品需要の強さを背景にした材料価格の上昇により黒字化している。
中古液晶パネルの買取販売を営む福岡市所在の中小企業も、中国内需の景気刺激策の恩恵を受けている。現在この会社が取り扱いをするほとんどの液晶パネルは中国向けの販売で、中古価格も年初に比べて倍の水準にまで上昇している。それでも中古価格はピーク時の半分に過ぎず、さらに上昇が期待できるのが今の中国の経済成長だ。
中国との関わりが増える九州では、福岡市の家電販売店が外国人観光客の買い物ツアー頼みであったり、42階建て高層マンション上層部を外国人富裕層が購入しているなど、その存在感は日に強まる方向だ。4兆元(約57兆円)の公共投資に後押しされる中国の経済成長は続いている。
【児玉 崇】
▼中国のH株指数(週足)
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