18日、民主党・野田国義氏と自民の大物・古賀誠氏の選挙戦初日は、実に対照的だった。
岡田民主党幹事長の応援を受けた野田氏は、16年間市長を務めた八女市役所横の公園で支持者らを前に第一声。政権交代で税金を福祉や教育、農業に重点的に配分しようと訴えた。中央集権、陳情政治、道路、コンクリート、利権と自民党政治を象徴する言葉を並べて批判。巨大公共事業一辺倒の古賀氏の手法を意識し、対決色を鮮明にした。野田氏の演説を聴きに集まった有権者は、夫婦連れや若者が目立ち、誰に聞いても『動員』を否定する。会場の婦人は「野田さんに頑張ってもらいたくてここに来た。一市民として応援する」
一方の古賀氏は、異例ともいえる朝8時30分から大牟田市のゆめタウン駐車場で出陣式。陣立てよろしく自民党参院議員、県議、地元市長やJR九州の会長らが居並ぶなか、3,000人近い支持者を集めた。マイクを握った古賀氏は「ふるさと」という言葉を何度も使い、社会基盤整備を進めてきた実績を語り、「国が古賀誠を必要とするなら、日本一のふるさとを創るのに古賀誠が必要と審判をしてくださるのなら、命がけで働いていく」と声を張り上げた。
出陣式参加者には、同じ制服や作業着ごとのかたまりが目立つ。旧来型の動員で圧倒的な数の力を見せつけたが、応援弁士が対立候補の民主・野田氏について「政策を語らない」と批判しながら、自身も政策を語らなかったことで失笑がもれる。人数のわりに熱気を感じることはできなかった。
福岡7区では、公共事業への巨額な税金投入を続けるのか、身近な暮らしへと税の配分を変えるのかが問われる。野田氏、古賀氏、それぞれの第一声は、両候補の政治手法を象徴する『儀式』だった。
【総選挙取材班】
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