まさかここまでとは。8月30日に行なわれた衆議院総選挙において、半世紀にわたり国政を担ってきた自民党が大敗。新たな与党として、民主党が大勝利をおさめる結果となった。
全480議席中、民主党が過半数(241議席)を大きく上回る308議席を獲得。自民党政権に対しての不満が露呈した格好だ。
ここ福岡においても、小選挙区全11区のうち7つの区で民主党が当選した。結果だけを見れば民主圧勝だが、この1議席1議席はそれぞれすさまじい選挙戦を勝ち抜いた結果なのである。
今回は、福岡5区・楠田大蔵事務所を密着取材。勝利までの道のりをレポートする。
<前衆議2名による戦い>
福岡5区は、民主党前衆議院議員の楠田大蔵候補と自民党前衆議院議員の原田義昭候補、さらに幸福実現党の鵤(いかるが)卓徳候補の3者による争いとなった。選挙結果は、当選した楠田大蔵氏が14万8,502票、次いで原田義昭氏が12万5,767票、鵤卓徳氏が5,139票。事実上楠田民主党対原田自民党の一騎打ちだったといえる。
今回当選した楠田氏は衆議院議員を2期つとめたが、いずれも比例代表による復活当選。小選挙区では原田氏の後塵を拝してきた。福岡5区は那珂川町、春日市、大野城市、大宰府市、筑紫野市、筑前町、朝倉市、東峰村の5市2町1村が選挙区となっている。春日・大野城などの都市部と朝倉・東峰などの農村部が混在する選挙区であり、保守勢力が主流派としてその地位を確立。とくに農村部における力は強く、自民党政治を支えてきた。
今回の総選挙においても、選挙戦序盤における原田陣営の力は強く、楠田陣営は後手に回る対応となった印象はぬぐいきれなかった。原田陣営は麻生太郎首相や桝添要一厚労相など、大物政治家を次々と来援させ、さらに豊富なマンパワーによる、いわゆる活動を積極的に展開。公明党のプッシュも力強い支えとなった。
一方の楠田陣営は、決して豊富とはいえない戦力での戦いを強いられることとなる。
【柳 茂嘉】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら