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特別取材

(株)丸栄 二度の「神風」も追い風にならず(1)【倒産を追う】
特別取材
2009年9月 3日 13:21

 (株)丸栄は、5月28日に破産手続開始の決定を受けた。負債総額は約7億円。三協立山アルミやアサヒ製鏡などのフロント企業として、福岡地区でも上位にランクされるガラス工事業者となるなど、着実に地歩を築いていた。だが、めまぐるしい環境の変化についていけず、またずさんな経営があだとなり、破産という道を辿ることになった。

COMPANY INFORMATION
代 表:吉永 宣之
所在地:福岡市東区社領3-7-1
設 立:1989年12月
資本金:2,000万円
年 商:(07/3)約4億5,749万円

本業の転換で立ち行かず

 (株)丸栄の沿革は若干複雑なため、いったん整理しておこう。まず、1972年1月に三和硝子(株)(本社:福岡県飯塚市)の営業マンだった現代表の父・吉永保之氏が、のれんわけにより住宅用サッシ・板硝子の販売・設計・施工を目的に丸栄硝子として独立したのが同社の前身である。76年2月に(株)丸栄硝子として法人化し、ビルサッシやアルミ建材なども扱うようになった。

 89年12月、保之氏は税金対策として別途に(株)丸栄を設立。丸栄硝子はリフォーム工事受注へと業態変更し、妻の吉永好美氏を代表とした。2社体制によって事業を展開し、エンドユーザーの取り込み規模の拡大を図った。

 その後、ガラス・サッシ関係の事業は丸栄が手掛け、丸栄硝子はテレビ局の音響関係および不動産管理業務なども手掛けるようになった。

 バブル期に入ると新築物件が大幅に増加。このころから、同社はビル用サッシの取り扱いを増やしていった。発注額が大きく売上規模が拡大したため、必然的に業績は急伸を示した。こうして、福岡地区の同業者のなかでも上位にランクされるようになった一方で、リフォーム需要がなくなってしまったため、丸栄硝子は実質休眠化した。

 しかし、バブル崩壊後は受注が大幅に激減。このころ力を入れていたビル用サッシは、売上規模の割に利益率が悪く、また完成品を出荷した段階で取引先から代金を回収できる商品であったため、仕入れや人件費コストが膨らんでいた。また、次の受注までのスパンが長いため資金繰りも悪化し、支払も手形が多く不渡りによる損失も発生していた。

(つづく)

【大根田康介】

【本稿は6月11日号「IB」に掲載】


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