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特別取材

【特別座談会】今、問われる上場の意義と再生を担う金融機関のあり方(4)
特別取材
2009年9月 5日 08:00

■再生支援に向けての仕組みづくり

企業再生と金融機関

 —企業再生についてもお聞きしていきたいと思います。企業再生に対する金融機関の動きも、今後は地域を守るための動き、地方分権的な動きが求められてくるように思いますが。
CRC 企業再建・承継コンサルタント協同組合 代表理事 真部 敏巳 氏
 真部 おっしゃる通りだと思います。収益還元法、とくにDCF法は運用を誤ると大きな問題となります。DCF法というのは、市場予測がプラスに向かっているときは上に見ますし、マイナスのときには過度に下に見ますから、将来予測を反映して、実際の価値よりものすごく上がったり下がったりします。それに翻弄されてしまうのですよ。ですから会計学を優先で金融の評価のベースに入れるということ自体が、根本的に間違いです。それでうまくいくのであれば、公認会計士を全員経営者にすれば会社はうまくいくというようなことになりますが、ならないでしょう。本質的に考え方が間違っているのです。私も今、1社上場されている会社を見ていますが、早く非上場になって、金融機関も地元の金融機関と付き合いなさい、とアドバイスしているところです。

 浜崎 都銀の動きについては、どう思われますか。

 真部 まるで投資銀行のような発想ですからね。例えば病院に「内科」「皮膚科」があるように、銀行にも看板を付けたらいいとも思いますね。「○○投資専門銀行」とか、「○○地域密着銀行」とか。そうして専門性を持たせて、それ以外のことはできないようにすれば、こちらも最初からそう思って付き合います。一般の方はみんな、銀行はどこも同じだと思っていらっしゃいますが、本当はそれぞれ全然違うのです。

 —昨今の金融の動きは、真部さんから見られていかがですか。

 真部 まず一つは、去年の11月の金融検査マニュアル改訂で大幅に変わっているところはありますね。あの一連の動きで、あの後引当金の繰り戻しが増加しています。もう一つの流れは、セーフティネットで資金を借りさせて、リスケジュールをやって、他行が絡んでいるものは全部中小企業再生支援協議会に丸投げ、というパターンで問題を先送りしている場合がみられます。抜本的に処理するという考え方からすると、引当金を繰り戻してしまうと、処理しようという力学が働かなくなってしまいます。処理には良い面と悪い面と両方ありまして、整理してしまうという悪い面と、再生に向かわせる力学が働くという良い面と、両方あるんです。引当金を繰り戻してしまって、体力のない金融機関にとっては支援をしやすくなりましたが、一方で、バランスシートの処理が進めにくくなっています。今、金融機関の決算書を4〜6月期でみると、急に不良債権比率が減っているはずです。新規は引当をしなくていいですし、以前から引当をしていた分は繰り戻すということで、金融機関はみな見かけよりも財務内容が良くなっていますね。

 黒木 サブプライムの影響をあれだけ受けて企業の業績が悪化しているのに、銀行の不良債権比率が改善されたような決算を出されると、むしろ銀行が貸倒比率を変更しているような感じも受けますね。

 真部 そうですね。今までの厳しい決算基準からすると、見かけ上は財務内容が良いと言われても仕方がないのかもしれませんが、それは新しい基準にのっとってやっているだけです。ただ、金融庁はそういう指導をしていますが、監査法人は以前の規準で見ています。金融庁で良いと言われたものをそのまま出せば監査法人を通るのかといえば、それはまた別の問題ということなんです。こういう話になるから、歩調を合わせないといけないのでしょうね。

~つづく~

【文・構成:坂田 憲治】

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