総選挙直後、取材で永田町の議員会館を訪ね落選議員の荷物運び出しに遭遇した。会館の廊下は、運び出されたゴミで埋め尽くされんばかりだったが、ゴミの山にぽつんと1枚のポスターが置かれていた。
故・橋本龍太郎氏が首相であった頃の自民党のポスターと思われる。政権を奪われた上、100人台というまるで大派閥程度の議員数に落ちぶれた同党の悲哀を感じてしまった。
橋本元首相はかつて旧田中派に所属した。「橋龍」と呼ばれ、早くから同派のプリンス的存在として認知される。田中派分裂で故・竹下登元首相らと経世会結成に動き、最後は総理・総裁の座まで昇りつめた。
旧田中派は「一致結束箱弁当」とまで言われ、鉄の団結を誇ったが、その頃の同派には小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏、羽田孜氏、渡部恒三氏ら、現在の民主党幹部が所属していた。
生き残った旧田中派を中心とする民主党が天下をとり、かつてのプリンスのポスターはゴミに埋もれる。本当に政治は変わるだろうか・・・。
実は自民党が結党以来繰り返してきた「擬似政権交代」に過ぎないのではないか。ふと、そうした思いが頭をよぎった。
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