選挙前の300議席から119議席へと6割減の大敗北を喫し、政権から転がり落ちた自民党。マスコミのアンケートによると、「自民党の再生を願う」声が約7割を占めると報じている。しかし、当の自民党は、総裁後継をめぐり迷走が続いており、再生への歩みは遅々として進んでいないようである。28日に予定されている総裁選を前に、16日の首班指名で「麻生」と投票するのか、それとも「白紙」と書くのか、いまなお党内は揺れている。両院議員総会が開かれる8日に、決着をみるのかどうかがひとつのポイントである。
後継総裁をどうするのかは、自民党の再生にとって当面の緊急課題である。「来夏の参院選で勝利できる総裁が必要」との声も党内から出ている。しかしこうした意見は、今回の自民党の敗因を見誤っているのではないか。今回の敗北は、一総裁の力量や資質に問題があったばかりではなく、あるいはまた、有権者が自民党に「お灸をすえた」という次元でもないだろう。自民党を中心にした、戦後の「55年体制」に対する有権者の反乱であり、もっと言えば、明治以降の近代的な日本型統治システムへの「NO!」でもあった。とするならば、その場しのぎの応急措置や、顔のすげかえだけでは対応できない。攻守所を変え、民主党に対する批判政党として、自民党が生まれ変われるのかどうかが問われている。
今回の選挙の結果、自民党は逆ピラミッドの議員構成になってしまった。初当選が5名、2回から3回の議員は78から25へ、また4回から6回の中堅は、85から51へと激減。いっぽう、ベテランは56から38と生き残った。この事実は、次の自民党を担う若い力、活力がいずれ枯渇することを意味する。しかし、このことは逆に自民党再生にとってもチャンスだととらえることもできる。全国、地方から新しい人材を発掘していく機会にもなろう。派閥機能が低下するなかで、今後は地方組織が新しい力を積極的に掘り起こし、教育していく環境になったとも言える。
【武田】
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