苦戦続く建材商社
JKホールディングス(株)の2010年3月期第1四半期の売上高は、対前年同期比で△10.8%の613億6,400万円にとどまり、営業利益は前年同期の5億5,000万円から△89.6%の5,700万円に、経常利益は3億7,800万円から一転して△5,700万円の赤字に転落。四半期純利益では前期の△1,200万円から△2億8,600万円の純損失へと収益が大幅に悪化した。
上半期(09年4~9月期)の売上高は、前年同期比△8.1%の1,310億円、営業利益は前期比△17.9%減の6億円、経常利益は△61.1%の1億円、当期純利益は△3億円の赤字になる見通しだ。通期(09年4月~2010年3月期)の売上高は、△2.1%の2,700億円、営業利益は73.2%増の24億円、経常利益12億円、当期純利益3億円を確保すると、大幅に下半期に反転攻勢を掛けると言うが、目論見通りに下期に景気が大幅回復するとは思えない。
すてきナイスグループ(株)の第1四半期決算は、売上高が対前年同期比△19.0%の467億4,400万円、営業利益は前期の△8億3,300万円からさらに悪化し、△10億8,100万円と赤字幅が拡大した。経常利益も△10億1,900万円から△13億7,900万円へと赤字幅が拡大、四半期純利益は△6億8,300万円から△16億3,200万円と、赤字幅が約2.4倍に拡大した。
同社の上半期の売上予想は、前年同期比△10.0%の1,110億円、営業利益 △14億円、経常利益△22億円、当期純利益△25億円の見込みであるが、通期(09年4月~2010年3月期)では前年同期比1%増の2,430億円、営業利益25億円、経常利益12億円、当期純利益5億円を予想している。国際的な木材市況は改善されつつあるが、円高が何処まで進むのかなど不確定予想も多く、マンションや戸建て住宅などの販売回復に賭けるしかない。
ジューテック(株)の2010年3月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比△15.5%の294億9,700万円、営業利益も前年同期の△1億1,800万円と同程度の△1億1,300万円、経常利益も前期の△6,300万円に対し△7,600万円と、赤字幅が微増した。当期純利益は、前期の△3億7,600万円から△1億2,000万円と前期比で2億5,600万円圧縮されたが、純損失から脱皮できていない。
上半期(09年4~9月)の売上高は、対前年同期比△10.6%の640億円、営業利益△1億3,000万円、経常利益△5,000万円、当期純利益△9,500万円と赤字から脱却できない。2010年3月期の通期連結予想は、売上高が前期比△2.7%の1,340億円、営業利益は前期比で△29.2%の2億円、経常利益も同じく△40.0%の3億5,000万円、当期純利益は2億8,000万円の黒字を予想している。
このように、大手木質系建材問屋の第1四半期決算は4社とも赤字決算となった。新設住宅着工戸数は4月から減少幅を強め、対前年同月比で△30%の大台に乗っている。4社ともに、今後もこのような状況が続くと判断しているように、これまでの需要の減少からくる売上減による収益の低下だけでなく、資金繰りなどから来る倒産(不良債権発生)がさらに収益低下を後押しする。金融機関もさらに住宅・建設関連企業への貸出枠を絞ってきており、危機ラインを突破してしまっている。
4社ともに下期の急回復を見通しているが、それだけの根拠がある数字なのか、心許ないのが実情である。
【徳島 盛】
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