世界最長の海上大橋
我々の乗ったバスは、いよいよ杭州湾海上大橋(中国名:杭州湾跨海大橋)に差しかかった。全長約36km。海上大橋としては世界最長である。
スゴイ・・・。
筆者の正直な感想だ。海上を片側3車線の高速道路が横切っている。しかも橋は延々と続き、終着点が見えないほどに長い。全体が緩やかに蛇行していたり、「航路橋」という橋の下を船舶が通るための箇所が設けられていて緩やかに上下していたりと、まさに海上版「万里の長城」といった感じだ。さすが中国...。
現地ガイドの説明によれば、橋の下の海は杭州湾なのだが、ここはちょうど銭塘江という川の河口にもあたるそうだ。銭塘江といえば、「大海嘯(だいかいしょう)」という大逆流現象が有名だとテレビか何かで耳にしたことがある。伝説によれば、この河川の主は「銭塘君」という全長300mもの龍だという話も聞いたことがある。全長300mっていうのはスゴイけど、橋の長さ36kmに比べると小さく感じるなぁ...。
そんなことを考えているうちに、橋の前方に何やら建設中の構造物が見えてきた。近づくにつれて全体がはっきりと見えてくるそれは、橋のすぐ横の海上に建設中の鳥のような建物だった。ガイドの説明によると、それはサービスエリアで、完成すれば休憩所と展望所を兼ね備えた施設になるという。見た感じは骨組みなどはあらかたできているようで、完成まではそう遠くないのかもしれない。
橋は長かった。しかし、思っていたよりはずいぶんと早く、前方に対岸らしきものが見えてきた。全長36kmと聞き、渡り終えるのにはもっと時間がかかるかと思っていたが、信号がなくノンストップで、道の勾配もあまりないような高速道路だとこんなものかもしれない。心なしか、交通量もそれほど多くなかったようだし。
かくして、我々は全長36kmもの橋を渡り終えた。
熱烈歓迎、管理公社
次に、橋の管理公社へ視察・会談に向かった。先方の担当者が橋のたもとにある高速道路の料金所で待っており、彼らの車による先導で公社へ向かう。
着いた管理公社はとても立派な建物だった。しかし、建物の周りはだだっ広い農園地帯が続くばかりで、この建物だけがポツンと建っているような様子だった。建物の立派さも相まって、すごく周りの風景とのギャップを感じる。
我々が玄関から入ると、まず目に飛び込んできたのは「熱烈歓迎日本福岡友好代表団一行!」の文字。そうか...、我々は福岡を代表して友好団だったのか...。意外な事実を知り(?)少々ビックリする。単なる視察ツアーとばかり思っていたら、我々は実はVIPだったらしい...。
大型の会議室に通された我々は、そこでまたしても先ほどと同じ「熱烈歓迎」の文字を目にする。続いて、先方の寧波市政府関係者および大橋の管理公社の方から、挨拶と橋に関するレクチャーが行なわれた。話は基本的に全編を通して中国語で行なわれ、それを現地ガイドが通訳するという形式だった。内容は、橋の建設に至るまでと現在の概況、そして今後の展望についてだった。途中、スライドにて前述の建設中のサービスエリア「海中平台」の完成パースなども見せていただくなど、全体として興味をひかれる事柄が多く、とても有意義な時間となった。会談の後半には、我々日本サイドの参加者からも質問等が飛び出し、会談は盛況のうちに終了した。
会談が終わると我々は管理公社を後にした。1日目の視察はここで終了。この後はいよいよ、今宵の宿がある寧波市の中心市街地へ向かうこととなった。
~つづく~
【坂田】
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