8月18日告示。それは様々な意味を持っている。
精神的には、いよいよ決戦のときが迫ってきたことを示し、気合を入れなおすタイミングとなる。また、実質的な意味としては、この日から公職選挙法のしばりを厳しく受けることになる。
公職選挙法。これがクセモノだ。フェアに選挙を行なうための法律ではあるが、フェアを求めすぎて何もできなくしてしまっているのである。
具体的には、戸別訪問はできなくなるし、ホームページの更新もできなくなる。ほかにも事細かに禁止事項が盛り込まれている。この日を境に、できることが減ってしまうのである。とはいえ、それはどの候補にとっても同じこと。ここでできることを精一杯やらなければ、敗北するだけなのだ。
告示の日、楠田陣営は出陣式を執り行なった。選挙区に数カ所ある選挙事務所で、それぞれ楠田代議士本人が決意を語り、一致団結して選挙に臨むことを確認する。多くの支援者たちが集まった。支援者たちは民主の風を信じて、勝ちを確信した。
嬉しいことに、ある会場では、民主党の大物・岡田克也幹事長が応援に駆けつけてくれた。多くの新人候補バックアップの合間を見ての来援である。支援者たちは大物の登場に熱狂、他の会場でもまるでお祭りのように大成功をおさめた。
とはいえ、言葉は悪いかもしれないが、出陣式は所詮うちうちの酒盛りのようなものである。内輪で盛り上がっても、それだけでは選挙は勝てない。たとえ、1会場に1,000人ずつ集まったとしても、全選挙民からすれば一握りにもならない。要は、出陣式は候補者からのファンへのサービスのようなものなのだ。
問題は、これからどう新規のファンを獲得するか、である。言い換えるなら、大多数を占める浮動票をいかに獲得するか。そのための策を練り上げなければならない。告示前後から徐々に学生ボランティアや企業からの支援者が集まり、30名を数えるに至っていた。とはいえ、その程度の人数である。しかも大半は選挙活動初心者。相変わらずのパワー不足は否めない。
選挙は実際の活動である。夢や理想ではない。実際に使える力を、実際にどう使うか。100名スタッフがいたらどう動く、などはどうしようもない思考なのだ。
これから何をしていくのか。どう人を使うのか。人も金もない楠田陣営は勝つための手段を模索していた。
【柳 茂嘉】
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