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山水建設への遺書(16)  社長の品格―その1/野口孫子 氏
経済小説
2009年9月18日 08:00

社長の品格1

 山水建設は創業社長山田が、自ら培ってきた「会社の品格」によって、名もない企業から、1兆円を超える売り上げを誇る超一流企業までに育て上げた。「会社の品格は社長の品格と同じ」、と言っても過言ではない。

 しかしながら、現坂本会長は、社長に就任して以来金銭至上主義に取りつかれ、そのことを本人は、下品とも卑劣とも思わっていない。さらに、たとえ社員が思っても、言えない、言わせない雰囲気の強権体制を敷いている。

 山田が築いた、誇るべき「家族的情愛」のある経営、日本的な「情緒と形」をすっかり忘れて、坂本は「権威と情実人事」の経営に変えてしまった。
 山田には日本古来の「武士道」の精神があったように思う。「慈愛、誠実、正義、勇気、惻隠(相手を思いやる心)」があった。山田のなかにこの精神があったため、山田の山水建設への限りない夢と情熱から、企業理念「人類愛」を基本理念として制定したのである。
 しかしながら、坂本は企業理念を理解することもなく、はじめから自分とは相容れないものとして、消極的な姿勢を見せていた。

 山田はエリート経営者として評価していいと思う。真のエリート経営者は、文学、哲学、歴史、芸術等、一見何の役にもたたなさそうな教養をもっているものである。この教養を背景に、圧倒的な先見性と判断力で、会社のため、社員のため、工事に携わっている末端の人たちのため、命がけで守るという気概があった。
 その山田の後ろ姿を見て、全社員、一丸となっていったのである。

 ところが、坂本は「権威主義のかたまり」であった。「力と権力」で会社を支配しようとしたのである。

~つづく~

(これはフィクションであり、事実に基づいたものではありません)


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