マツモトキヨシとローソンの提携発表は、大手に集約されつつあるコンビニ業界よりも、今や群雄割拠して戦国時代に突入しているドラッグストア業界にこそ衝撃が走っていると思われる。
下記の図の通り、第一位のマツモトキヨシHDの売上高は4,000億円弱、第2位のスギHDは約2,700億円である。コンビニ業界第1位のセブンイレブンの売上高は、2兆7,625億円で、店舗数は12,323店、第2位のローソンの売上高は、1兆5,587億円で、店舗数は9,527店となっており、事業規模では雲泥の差がある。
今回の提携は、(1)「コンビニ側からみれば、昨年のタスポ導入に伴うたばこ販売の増収増益効果が消えて、新たな収益の柱が必要になったこと」、(2)「ドラッグストア側からみれば、コンビニとの提携による大量仕入れやプライベートブランドの発注により、医薬品の価格決定権をメーカーから奪い取ることが可能」、というこの二点に集約される。
しかし、薬事法によって保護されている業界が、大手コンビニと提携して互角に戦うことができるかどうかという不安と、それとは逆に、今までとは違うドラッグストアとコンビニが合体した新しい業態の「ドラコンストア」が生まれるとの期待を乗せた船出でもある。
消費者にとっても、高齢化による年金医療問題がクローズアップされるなか、今回のドラッグストアとコンビニとの提携は、医薬品も家電製品と同様に価格決定権が消費者サイドに移る大きな一歩(一里塚)となるかもしれない。
【北山 譲】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら