商工会職員を福岡県商工会連合会に帰属させ、県連合から商工会へ職員を円滑に出向させることを目的に始まった職員人事一元化。02年度の理事会において人事管理委員会に人事一元化を諮問することが決まり、さらに4年後の06年度第1回臨時総会において、2010年4月1日までに実施することが決議された。
商工会の事業は「人」を介した事業が中心だが、同一職場への長年の在籍がマンネリ化を生み出すとして、県連合会は「人事異動」の必要性を訴えた。大枠として、現状は商工会長に帰属する権限のうち、指揮命令権・日常業務遂行管理を除く採用・異動命令・解雇・懲戒解雇・退職を県連会長に帰属させるという。
だが、この動きを疑問視し、人事一元化に反対する商工会も少なからず存在する。主な論点は(1)権限の分離による責任の不明確化、(2)県連合会の人事権吸い上げによる中央集権化、(3)職員の給料の統一化だ。人事一元化を進めた場合、基本的に各市町村の商工会職員は県連合会に帰属する。つまり、県連合会から商工会に異動というかたちで出向する。
(1)については、商工会は職員の採用や異動、懲戒などについて一切の権限がなくなるため、もし職員が不祥事を起こした場合の責任は誰がとるのか(県連合会の言い分では監督責任は商工会にあるとする)という問題が残る。
また(2)についても、商工会が懲戒権などをもたなくなるため、反対派は「こんな方針だと商工会は県連合会の言いなりになるため誰も会長をやりたがらなくなるだろう。商工会自体が無くなる恐れもある」とする。
さらに(3)の内容では、これまでは商工会ごとに職員の給料が違っていたものが、統一化によって人件費自己負担額の定額化が導入される。負担額が大幅に増加する商工会が出てくるという懸念が生じる。県連合会は10年間の調整期間を設けるとしているが、「もう少し環境を整備してから一元化に取り組むべきだ。異動によって給料が大幅に減り、生活に困る職員も出てくるのではないか」というのが反対派の意見だ。反対派の商工会のなかには「このままなら県連合会を脱退したほうがいい」という考えを持つところもある。
そもそも、この問題は、小泉構造改革の一環として始まった「三位一体の改革」で補助金が削減されること、市町村合併が進むことも考えて、人事一元化を実現し商工会の合併問題と合わせて対応できる体制にすべきだというなかで進んだ。民主党政権が誕生した今、こうした自民党時代の地方自治問題が再びクローズアップされることが多々出てくるだろう。
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