ハウステンボス(長崎県佐世保市)に対し、ホテルマネージメントインターナショナル(HMI)が支援出資する方向で、野村プリンシパル・ファイナンス(野村PF)と交渉しているとされている。
HMIは全国で50近くのホテル・旅館を運営し、「かんぽの宿」一括売却問題でオリックス不動産と最後まで落札を争った会社として有名である。ホテルの運営受託や破たんした旅館の経営を継承するなど、経営再建請負人的な顔を持つ。年商は2008年9月期単体で約218億円、グループ全体で約490億円あり、本社を置く兵庫県の同業者のなかではトップクラス。ただ、実質的な本社機能は東京に置いているようだ。
現代表の宮下慶輔氏は、1942年に会津若松市で生まれ、学習院大学を卒業。東京・新橋の第一ホテル東京でホテルマンとなり、89年に3社目となるHMI社に移り、これまで100件以上の宿泊施設の新設、再建を手がけてきた経歴の持ち主である。
「HMIの創業者は宮下社長ではないが、いっさいお答えできない」(同社広報部)と閉鎖的な印象も垣間見えたが、現・同社顧問の比良竜虎氏が初代と言われている。比良氏はインド出身で、シニアケンブリッジ卒。その後、約30年間日本で観光業の代表として活動し、現在は沖縄オーラコーポレーション(株)の社長などを務めている。
問題は、HMIがハウステンボスの運営をできるのかという、ただ1点。これまでの実績から考えれば、「ホテル運営に関しては」十分に対応可能だろう。しかし、ハウステンボスはテーマパークである。ホテルだけの再建では到底、元の姿は取り戻せない。集客のためのイベント企画が不可欠だし、再三報じているようにリピーターを確保しなければならない。付け焼刃の経営譲渡にならないように願いたい。
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