スケールが違う寧波港
次に我々が視察に向かったのは、寧波港だ。
寧波港は古代より立地に恵まれた天然の良港で、遣唐使や日宋・日明貿易における中国側の窓口となっていた。また、かつては数多くの日本僧がこの港を通じて寧波に訪れ、ここから仏教の知識・書物を日本に持ち帰ったとされる。かの曹洞宗開祖・道元や、最澄、空海といった高僧も、ここ寧波の地を訪れているという。
我々はまず、寧波港務局を訪れて港に関する概要の説明を受け、次に実際に港を視察した。港に向かう前に注意事項として我々に伝えられたのは、基本的に先方からのOKが出るまでは一切の撮影は不許可。やはり重要港湾だけあって、警備・防犯上の問題から好き勝手に撮影されては困るということだろう。
港に着くと、まずそのスケールの大きさに驚かされた。博多港などではまずお目にかかれない巨大ガントリークレーンがそびえ立つ。あたりには、いたるところに巨大コンテナが積み上げられ、前述のクレーンによってヒョイヒョイと吊られ、次々と運ばれていく。途中、作業員とおぼしき人影も何人か見受けられたが、背後のビルのような巨大クレーンと比べるとまるで米粒だ。迫力が違う。
ちなみに、ここで主に見受けられる20フィートコンテナ1個には、キャベツなら600ケース(1ケースは約10kg)入るという。単純計算で1個6トンとコンテナ自体の重さとなる。前述の巨大クレーンは、このコンテナを同時に2個持ち上げたりもしていた。
寧波港は、コンテナ取扱量でいえば、中国第3位、世界でも第7位という大規模な港である。しかも取扱量は年々増加傾向にあり、昨日視察した「杭州湾海上大橋」の開通によって今後更なる飛躍が期待できるという。その巨大港湾の実力の、ほんの一端を垣間見た気がした。
市内の市場・スーパー
港の視察後に昼食を終えた我々は、次の視察予定まで若干時間があるとのことで、近隣の市場やスーパーを見てみることにした。
なお、昼食は例によって中華だったので、もはや特に書くことがないこともあり、割愛させていただく。
まず、昼食どころからそう離れていない、地元の市場に行ってみた。残念ながら市場は、朝の営業時間と午後の営業時間とのちょうど間に訪れたこともあって、閑散としていてあまり人もいなかった。だが、とりあえず市場の雰囲気だけでも、とツアー参加者は場内を見て回っていた。とはいえ、時間外のため、開いている店舗自体がそう多くないのだが。
私は、青果店が1店開いていたため、少し見させていただき、ついでに野菜の写真を撮らせていただいた。カラフルな野菜を少し下のアングルから煽り気味に撮ろうと近づいた瞬間、野菜の陰から無数の何かが飛び立った。...蠅だ。よく見ると野菜や果物の陰に、いたるところに蠅がいる。さすがは中国、といったところか。
と、ここで一つ思い出す。そういえば先ほど昼食を取ったレストランは、この市場のすぐ近くだったな...。食材はどこから仕入れているのだろう...。
...あまり深くは考えまい。
市場の次に、近隣でもかなりの大型店だというスーパーを訪れた。確かに大きい。日本でいうと、ショッピングモールのような規模だ。ここではしばしの自由時間が与えられ、ツアー参加者は各々散らばって見学や買い物をしていた。
スーパーのなかは、ちょうど12周年のセールをやっていたようで、なかなかに活気があった。いたるところに店員が立ち、客が店内に入るたびに「いらっしゃいませー」と叫んでいたようだった。構造は2階建てで、2階が家電・生活雑貨等、1階が食料品売り場となっていた。他に1階部分には、それこそショッピングモールのように数々のテナントも見受けられた。
なお、このスーパーの構造上の問題点が1つある。2階建てということは前述したが、入り口部分がまず2階にあり、そこから入ると1階も含めて店内をグルッと回らなければ外に出られない、という構造になっている。店内をじっくり見て欲しい気持ちはわからなくもないが、少々強引だ。おかげで、自分も含めてツアー参加者から迷子が出るところだった...。
【坂田】
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