~底見えぬ広告業界の不況、日本のマスメディアと共に地盤沈下を続けるのか?
昨年のリーマンショック以前から、インターネットや携帯電話の普及により、日本社会で大きな権力を握っていたテレビや新聞などの従来型マスメディアは、その絶対的な地位を落としてきている。
さらに、この従来型マスメディアでの収益に依存してきた広告業界はいま、多様なメディア間競争と昨今の不況による絶対的広告量の減少によって、その存続が危ぶまれるほどの苦境に喘いでいる。
まず今年度に入ってからの大手広告会社の業績を見てみよう。
この数字を見ると、大手3社とも昨年と比べ売上で12%~18%のダウン、営業利益では、電通が大幅減ながらかろうじて赤字ではないものの、博報堂DYホールディングスもアサツーDKも赤字に転落している。
電通とアサツーDKは、広告以外の収益により何とか経常利益でプラスを保っているが、博報堂DYホールディングスは第1四半期の純利益で18億近い赤字に転落している。
世界的不況で、大手自動車会社も大幅な赤字に転落する時代である。広告会社が赤字に転落してもおかしくはない、という見方もあるが、広告業界が抱える問題の根は深い。本リポートで広告業界の病巣をえぐり出していく。
【松尾 潤二】
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