8月29日。明日がいよいよ決戦の日となった。公選法により、活動することができる最後の日だ。内務はビラを折り込む必要がない。なぜなら明日から配ることはないからだ。最後の選挙活動が始まる。
朝7時にスタッフ全員が揃う。笑顔が溢れている。別に勝ったわけでもない。けれども笑みが浮かんでしまうのである。
「とにかく全力を尽くしている。今日1日、最後まで戦い抜く」
決戦を前にした緊張というより、充実感が勝っているのである。スタッフ一同、今日が最後であることを認識している。余力を残さず、全てを出し切る。この心のみが、全員に宿っている。勝ち負けの打算は一切ない。そんななか、楠田候補とウグイス譲を乗せた街宣車が発進する。事務所全員が、事務所の前に出て拍手で見送る。自転車部隊が後を追う。
この日は、杷木町(朝倉市)から甘木(朝倉市)、筑前町、筑紫野市、大野城市、春日市、那珂川町と、街宣車と自転車部隊が一体となって、この広い範囲をすべて回ることになっていた。街宣車は機動力を活かして少しでも広い範囲を、自転車は小回りを活かして家々を縫って回る。どちらも声の限りに応援を叫ぶ。
「民主党の楠田大蔵をよろしくお願いします」
「福岡5区、民主党は楠田大蔵です」
「32歳の若い力で地域の声を国政に届けます」
各地にポイントを設け、時間を決めて街宣車と自転車部隊がそこに集まる。そして演説を行なう約束となっていた。自転車部隊と並走して、バンも並走していた。ポイントの下準備と自転車部隊のケアが目的だ。
各所にまずバンが到着する。その後、自転車部隊が集まる。自転車にはノボリが立っているので、自転車が集まるだけで街宣のためのデコレーションとなる。そして街宣車が到着するまで、楠田カラーである緑のハンカチを降りながら、声を張り上げてアピールする。
自転車走行の疲れも見せずに、汗は流れるままに、とにかく声を振り絞る。そこに街宣車がやってくる。まるでスターの登場のごとく、先着スタッフたちの顔に笑顔が溢れる。
そして、街宣が始まる。
【柳 茂嘉】
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