衆院福岡2区で初当選した稲富修二陣営の選挙資金流用疑惑が、思わぬ方向に光をあてることになった。
07年の知事選における民主党から稲富氏個人への推薦料は4,000万円。そのうち1,900万円が余剰金となり、その使途はいまだに不明である。稲富氏の当時の支援団体「ふくおか@創造リーグ」に対する民主党からの政治資金約1,600万円も、一時的に流用されていたことがデータマックスの取材で明らかとなっている。全ての金の流れを知る、知事選で稲富陣営の選対本部長を務めた古賀友行元県議は、電話取材の途中、ある質問を受けてから態度を一変させた。記者が問い質したのは、古賀元県議が選対本部長を務めた、もうひとつの大型選挙にまつわる金への疑問である。それまで比較的冷静に対応していた古賀元県議は、「分からない」「覚えていない」「今すぐには答えられない」「会って話すことはいやだ」、あげくは「この電話に二度とかけてくるな」と言い出した。
<福岡市長選挙の1,000万円>
知事選に先立つ06年11月、福岡市長選挙が行われた。民主党は、吉田宏・現市長を推薦し勝利する。この選挙で吉田陣営の選対本部長を務めたのが古賀友行元県議である。
市長選挙終了後の12月15日、民主党本部から北九州に主たる事務所を置く古賀氏の資金管理団体「古賀友行後援会」に対し、1,000万円が寄附される。そして、この金は5日後の12月20日、吉田市長の支援団体「ふくおかFUNクラブ」に寄附される。迂回させた1,000万円は「ふくおかFUNクラブ」の支払いに充てられることになるが、この時の金の流れと稲富陣営の政治資金の動きとは、極めて酷似している。
06年12月15日に民主党本部から吉田市長陣営に支出されたのは「古賀友行後援会」への1,000万円と「ふくおかFUNクラブ」への1,700万円。合計2,700万円の政治資金が吉田陣営に流れ込んでいたことになるが、知事選の折は稲富氏の支援団体「ふくおか@創造リーグ」に対し、ほぼ同額の2,750万円が提供されていた。このうち、いったん「いなとみ修二後援会」を通して創造リーグに入金された額は1,500万円。ここでも迂回が行われていたのである。さらに大きな酷似点はここからである。
(つづく)