亀井静香金融相が中小企業への返済猶予制度に向けた発言が注目されている。中小企業の金融機関に対する債務返済を3年程度猶予する制度(モラトリアム)について「責任をもってやる」と述べ、改めて制度導入に意欲を示したのである。
当然金融機関の猛反発が予想されるが、この制度が実現されたことを前提に考えてみる。
中小企業のメリットとしては、
(1)返済負担がなくなり、資金繰りがよくなる
(2)リスケ申請がやりやすくなり、従来のリスケより長くリスケ期間を設定できる
などがあるが、その一方で返済猶予期間中の新たな借入はできなくなるのである。また、三党政策合意の中には、「政府系金融機関による貸付制度や信用保証制度の拡充を図る」とある。現段階ではなにも見えていないが、融資制度の拡充と返済猶予は同時に受け入れられるという話ではないということである。
以前から建設・不動産業界への金融機関の融資は、非常に厳しいが、経営者としてはこの点を冷静に判断する必要がある。
【久米 一郎】
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