福岡市総務企画局国際部による不適切な海外出張を追及するなか、文書改ざんをはじめとするデタラメな公文書管理の実態が明らかとなっていた「アジア文化賞」の担当課が、事実上の公文書公開拒否に転じた隠蔽体質を露呈した形だ。
データマックス取材班は今月1日、福岡市長に対し「アジア文化賞」と「姉妹都市交流」の全ての文書について公文書公開請求した。しかし、アジア文化賞担当課は18日付けで次の「通知」を郵送してきた。
アジア文化賞に関するほとんどの公文書公開を、平成24年9月28日まで延長するというのである。つまり3年先ということ。『平成24年』の文字を見た取材班一同が唖然となったのは言うまでもない。しかし、この福岡市の手法は、情報公開制度自体を形骸化させ、市民の知る権利を事実上否定するものである。
今回、担当課が期限延長の理由とした福岡市情報公開条例第13条とは次のようなものである。
(公開決定等の期限の特例)
第13条 公開請求に係る公文書が著しく大量であるため,前条第2項に規定する期間内にそのすべてについて公開決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合には,同条の規定にかかわらず,実施機関は,公開請求に係る公文書のうちの相当の部分につき当該期間内に公開決定等をし,残りの公文書については相当の期間内に公開決定等をすれば足りる。この場合において,実施機関は,同条第1項に規定する期間内に,公開請求者に対し,次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
(1) 本条を適用する旨及びその理由
(2) 残りの公文書について公開決定等をする期限
福岡市が13条を理由に公開決定期限の延長をするケースは、これまでもたびたびあった。だが、どんなに膨大な資料であろうと1か月程度、長くても3か月ほどで公開決定がなされてきた。大変な作業であることは理解できるが、市役所の業務が税金によって成り立っていることを考えれば当然のことだろう。もちろん、これまで情報公開を通じて対応してきた市職員は、懸命な努力で請求の趣旨に応えてくれた。しかし、市役所の中核組織であり、情報公開制度の担当局である総務企画局が、こうした愚行を犯すとは思わなかった。公開決定を数年間も延長し、事実確認を遅らせることで真相を葬り去るという手法は、決して許されるものではない。
今回の公開期限3年延長について、市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は次のように話している。「3年延長など聞いたこともない。これが許されれば、都合の悪い情報について、多忙を理由に公開期限を延長して事実を隠蔽する前例となりかねない。市役所が市民の方を向いて仕事をしていないことの現われだ」
データマックス取材班は、25日にも通知について撤回の申し入れを行う。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら