最終日の大移動
寧波視察ツアー最終日となる３日目。この日のスケジュールは、主に移動だ。ツアー最終日なので、時間に余裕を持って空港までたどり着いておかなければならない。途中で多少のトラブルがあろうとも、何としても今日中に日本に帰るのだ。
我々は、２泊の間お世話になった５つ星ホテルをチェックアウトし、寧波市街をバスで走る。この寧波市街のやたら揺れる道路とも、これにておさらばだ。今さら書くのも何だが、寧波の街中を走っているとバスがやたらとガタガタと大きく揺れる。というのは、寧波の街中はクリーク（水路）が多く、しかもそこに架かった橋と道路のつなぎ目が致命的にスムーズでないためだ。中国のインフラ整備技術の未熟さが垣間見える。
バスは寧波市街を過ぎ去り、やがて高速道路に乗って寧波郊外から上海方面に向かって進む。途中の道のりは、基本的には行きと同じだ。当然通ることになるのは、初日に視察も行なった杭州湾海上大橋。やはり巨大で長い。とはいえ、２回目ともなるとあまり見るべきところもないかな、と思っていると車内で声が上がった。
「逆流だ！」
見ると、小規模ながら確かに眼下の杭州湾・銭塘江の水面が一列に波立ち、逆流しているようだった。「大海嘯（だいかいしょう）」ではなかったものの、ちょっと鮮烈な光景だった。
上海市街の街並み
やがて高速は上海市街地へと入っていく。
寧波もわりかし都会ではあったのだが、さすがに上海は規模が違いすぎる。車外に流れる景色はしだいに様変わりし、高層化・近代化していく。乱立している高層ビル群。近代的なデザインに塗り変わっていく街並み。古きは淘汰され、新しきで埋め尽くされていく。さすが、今まさに現在進行形で躍進している都市、といった印象だ。
 |  |
「皆さん、右の方をご覧ください。あそこで建築中なのが、来年開催される上海万博の会場です。ここから見える中央の逆三角形のような赤い建物。あれがほとんど完成している『中国館』です」。上海空港にて
上海市街で昼食を終えた我々は、上海空港に到着した。途中でさしたるトラブルもなく、非常に順調に余裕を持って着くことができたため、飛行機の出発までにはまだ随分と時間がある。ここで一時解散となって、集合時間までは各々土産物などの買い物の時間だ。
なお、３日間お世話になった現地ガイドの方とは、ここでお別れである。とても日本語が上手で通訳の役割もこなしていただいたほか、随所随所で解説を入れてくれるなど、この方のおかげでツアー全体がとてもスムーズだった。謝謝。
解散して自由時間となった後、とりあえず私は空港での出国・搭乗手続きなどをさっさと済ませ、空港内の免税店にて土産物を見てみることにした。ひとくちに土産物とはいっても多種多様で、お菓子などの食べ物類から、酒類、化粧品、置物やチャイナドレスなんてものまである。私は無難にお菓子に狙いを定め、適当に良さげなものを見繕う。とあるお菓子に数種類の味のバリエーションがあったため、どれが一番人気なのかを近くの店員に尋ねてみた。すると、「ソレハ全部味ガ違ウカラ、美味シイノハドレモ同ジ」とムッとした表情で返された。会社の先輩は、同じ店の別の店員に「コレ、一番人気ネ。皆コレ買ッテクヨ。コレ一番美味シイヨ。コレ１個デイイカ？」と、よく分からないお菓子の詰め合わせを強引に無愛想に勧められた挙げ句、買って後日社内で配ったところ大変不評だったという。
今回の旅行でヒシヒシと感じたことは、中国人の接客態度は基本的に無愛想だということだ。免税店の店員に限らず、ツアー中に立ち寄ったお店や食事をした料理店でも、店員の笑顔というのを見た記憶はない。愛想が良かったのは、それこそ夜のお店のオネエちゃんくらいのものだ。このあたりの中国人のホスピタリティな部分を、もっと改善してくれれば、と切に願う。
やがて飛行機の出発時間が迫ってきた。かなり余裕を持って空港入りしているので、すでに空港で随分な時間を過ごしている。いよいよ飛行機へ搭乗か、という段階になって、場内にアナウンスが流れる。
「飛行機の出発時間の遅れをお知らせします。上海空港発、福岡空港行きの・・・」
...結局、プラス１時間を上海空港で過ごすことになった。
我々が福岡空港に降り立ったのは、当初の予定の１時間遅れ。飛行機が遅れた以外はさしたるトラブルもなく、全員無事に帰国することができた。今回のツアーはこれにて閉幕である。
以上、９月３日～５日に行なわれたデータ・マックス主催「上海経済圏・寧波経済事情視察ツアー」の旅行記を、全８回にわたってお届けした。つたない文章で大変恐縮ではあるが、ツアーの雰囲気・中国の現状などを少しでも感じ取っていただければ、と思う。また、これを読んで、少しでも中国・寧波に興味を持っていただければ幸いである。
【坂田】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら
