―ハウステンボスが破産すると、どんな影響が考えられますか。
宅島 たくさんの従業員と取引業者がいますから、ハウステンボスだけの問題ではなく、彼らの生活にも影響を及ぼすでしょう。もしそういうことになれば、長崎経済はまだまだ冷え込むと思います。
―たしかに長崎は経済的に落ち込んでいますし、海外からの観光客もかなり減っています。
宅島 ときどき修学旅行生も来ていますが、こちらもやはり半分くらいに減っているようです。観光客の招致委員会などもありますが、やはり観光案内やホテルひとつにしても、専門語学や外国文化をたしなんだ人が全体的に少ないと思います。
ハウステンボスは中国人をいれて対応していましたが、それだけでは不十分です。やはり案内は人対人ですから、通訳だけではダメでしょう。
―コンテンツも入れ替えが必要だと思います。
宅島 実は、ホテルの部屋数は過剰気味で飽和状態です。たとえば、それらの半分を老人ホームやケアハウスにするとか、そういう切り替えが必要でしょう。
また、ハウステンボスは1度行ったら飽きたという人もたくさんいると思います。そういう方たちを出さないためにも、リピーターを増やせるコンテンツづくりが必要ですし、入場料も1,000円ぐらいが良いと思います。
―滞在型の強化が必要ですよね。
宅島 あと、九州という観点から見た場合、ハウステンボス、大分、阿蘇などを3泊くらいで回遊する観光圏にする必要があります。
―これだけ地方経済が冷え込んだのはなぜでしょうか。
宅島 金融の問題が一番大きいと思います。システムがアメリカ型に変わり、昔は担保があれば融資を受けられましたが、今はそうはいきません。おかげで、歴史のあるところはどんどん倒産していきました。
―そのなかでの商工会連合会の役割は。
宅島 期待される役割は大きいと思います。ただ、商工会議所との統合も議論に上がっています。しかし、商工会連合会は田舎を、商工会議所は都市部を中心にしているところに違いがあり、現時点では規模や指導体制が違うため統合は難しいでしょう。何年かはかかると思います。
たとえば、雲仙市では会員企業1,400あります。市内に消防団員が1,600人いますが、そのうち1,000人が会員企業から出ています。地方で災害が起こったときのために訓練していることなど、地域に密着しているというのを県会議員でも知らない人たちがいます。
―地域の防災という観点からも商工会は大切だということですね。本日はありがとうございました。
【文・構成:大根田康介】
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