地域主権型道州制に向けて 九州の若い力に期待
知事レベルで脱官僚を
-仮に地域主権型道州制を実現しなければ、日本はどうなると思いますか。
江口 2020年くらいまでに達成しなければ、日本の活性化もままならず、グローバル化のなかで日本の地位を維持するのは不可能になってくることが歴然としています。
ですから、中央集権体制からの脱皮と地域主権型道州制という新しい国のかたちへの移行は、どちらの政権であろうと実現されるだろうと理解しています。民主党政権になったから道州制の構想が消えてなくなるとか、関心が薄らいでいくということはないでしょう。
実際に、すでに47都道府県の知事のうち13人が連名で道州制を実現しようと声を上げています。反対は4人、残りの人たちは道州制をどう考えれば良いのか分からないということでしょう。今後は、知事レベルでもゆっくりと道州制の考えが浸透して、20人、25人と賛同者が増えていけばよいですね。
-知事のなかでも意見が分かれているのですね。
江口 知事職を単なる官僚の天下り先と考え、47の都道府県が10ないし13のブロックに分かれると、ポストが約4分の1に減ってしまうと考える人は別でしょう。ただ、真剣に自らの県の活性化について考える知事ならば、県単位の広さでは開発が思うように進まないと感じているはずです。
-しかし自治体組織には、道州制を担える経営感覚というか、気概を持っている人は少ないと思います。
江口 それは官僚からの天下が多いからです。そういう人たちに経営感覚はまるでありません。官僚にはバランスシートは読めないわけで、地方財政をそうした人たちが担うから、早晩行き詰ってしまうわけです。どこをどう経費節減するかという、経営者的発想がないものだから、すべての都道府県が赤字になっています。
これからは、知事の人たちの意識も変わってくると思います。知事のなかにも、元官僚で天下り先としてしか知事職を認識してない人も多かったでしょう。首長も脱官僚という動きになってくると思います。
今後は、中田宏元横浜市長や橋下徹大阪府知事のような人材が増えると思います。中田さんは約7年間で1兆円の借金をなくしました。官僚ではない人がトップになれば、地方は確実に健全化されます。
【大根田康介】
【地域主権型道州制国民協議会】
PHP総合研究所・代表取締役社長の江口克彦氏を会長として、東京・新宿区で2009年1月26日に設立された。「増税をしない国家運営」「地域の産官学住による経済活性化」「地域住民秀建による元気な社会」を実現することが目的。国民の間でも地域主権型道州制の実現への機運が高まり、現在は全国56支部、3,000人の会員を擁する。年内には会員が1万人規模になる見込みで、さらなる発展を目指している。
<同協議会ホームページ>
http://www.dousyusei.jp/
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