外務大臣には、鈴木宗男氏(新党大地)や田中真紀子氏を起用するといい。そうなるかは分からない。しかし、鈴木宗男や真紀子が大臣か副大臣になると、本当に外務省は震え上がる。これまでにやってきたことの内部の悪事がすべて表沙汰になって、国民に公開されるだろう。
だから7月の人事異動の時に、外務官僚たちは我れ先に「どこでもいいから私を外国に出してくれ(ほとぼりが覚めるまで帰って来たくない)」と人事課と官房長に掛け合ったそうである。このようなみっともない様になっている。官僚たちは、潰走しつつある。この動きに、商業メディアであるテレビ、新聞も追随して、雪崩を打って民主党政権を持ち上げ出すかが見ものである。
鳩山新政権はどうせ、金融・経済の政策と年金の制度の悲惨な運用の実態(社会保険庁は解体して、国税庁と一体にして「歳入庁」に改組される。これだけでも革命だ)と健康保険制度(国民の医療制度)と、景気回復策(失業率が5.7%にまで上昇。完全失業者数360万人、8月28日発表)で苦労することになる。急には、今のデフレ経済(大不況)からは脱出できない。
そしてもうすぐ、アメリカでの次の金融崩れ、デリヴァティブ(金融バクチ商品)の大爆発、ドル・米国債の暴落などが襲いかかってくる。それに対するかじ取りに失敗したら、すぐに民主党政権を攻撃してくる連中がいる。だから、何としても最低でも2、3年のあいだ、鳩山民主党政権が続くことがどうしても必要である。
そして、何よりも大切なことは、若者に職を与えることである。働きたいと願っている若者に職を与えられないのは、政治の失敗である。これまでの自民党政治が国民に、遂に嫌われ、見捨てられようとしているのは、働く能力と意欲のある人々に、職と定収入を与えることができなかったからだ。これは本当に政治の責任である。この問題を何とかしなければならない。
今度の選挙の特徴のひとつは、地方の老人たちが怒っているという点だ。老人たちには、自民党は福祉や医療でかなり手厚く報いてきた。しかし、今度ばかりは本当に老人たちを怒らせている。
人生の達人であり、長い人生経験で何でも知っている老人たちが、「今度ばかりは、自民党を落とさなければいけない」と言いだした。自民党の現職の議員に向かって、老人たちが、「今回、あなたは落選しさない」と、はっきりと言ったそうである。
老人たちは、自分の子供や孫たちに職がなくて苦しんでいることをよく知っている。本当に、自民党政治の長年の悪習、悪弊で、日本はひどい国になった。そして、日本国民殺しを感応した郵政民営化クーデターで、小泉・竹中政治が、田舎の老人たちから大切な郵便局や簡易郵便局を奪い取った。これには、本当に老人たちが怒っている。
政治の力で国民経済を活性化させ、若者たちに職を与えるためには、金融・経済、財政の優れた専門家であり、具体的な政策立案者としてのずば抜けた才能を持つ植草一秀氏を、急いで政界に復帰させることである。荒れ狂った小泉・竹中政治(アメリカの手先たち)の5年間で、一番ひどい目にあった植草氏を、急いで汚名をそそぎ、名誉回復させなければならない。そのための努力を、皆でしなければならない。
それが、私たち日本国民の自らの政治選択であり、自らを変えてゆく闘いである。
私たちは、もうこれ以上、騙され続けるわけにはゆかない。
新しい日本のために。私たち自身が、平和のなかで生き延びてゆくために。
(了)
副島 隆彦【そえじま・たかひこ】氏
1953年5月1日、福岡市生まれ。早稲田大学法学部卒業。銀行員、代々木ゼミナール講師を経て、現在は常葉学園大学教授。政治思想、法制度論、経済分析、社会時事評論などの分野で、評論家として活動。著書に『時代を見通す力』(PHP研究所刊)、『恐慌前夜』(祥文社刊)、『暴走する国家、恐慌化する世界』(佐藤優氏との共著、日本文芸社刊)ほか多数。日米の財界、シンクタンクなどに独自の情報源を持ち、日本人初の「民間人・国家戦略家」として、日本は国家として独自の国家戦略を持つべきだ、と主張している。副島国家戦略研究所(SNSI)主宰。
副島隆彦の「学問道場」
http://www.soejima.to/
*記事へのご意見はこちら