福岡2区の衆院議員・稲富修二氏陣営による政治資金流用疑惑の中心は、07年知事選で選対本部長を務めた古賀友行元県議である。同氏への電話取材内容を検証する2回目。稲富余剰金問題は、別件に光をあてることになる。
民主党から稲富氏への知事選推薦料4,000万円のうち1,900万円が使途不明となった問題では、「財界人に預けた」とする金が「ほぼ現金になった」と、意味不明な説明を繰り返す。今月4日の釈明会見の時と同じく、「現金に近い形」についての説明はなかった。
返金についても「稲富さんが、どう私どもに話をするかということ」として、稲富氏側に下駄を預けた。おかしな話である。これだけ問題になった以上、返せるというのなら即刻稲富氏に「現金」を届けるべきだろう。
昨年11月からの取材や、釈明会見での言い訳、そして今回の電話でのやりとりから見えてくるのは、複数回に分けての返金を見据えていたということだ。会見では、なまかじりのまま、政治資金規正法の規定を持ち出し、年間150万円という金額に言及したが、記者団から年間1,000万円との規定が存在することを持ち出され、狙いが崩れた。しかし、既報のとおり稲富氏の選挙余剰金は政党からの寄附であり、稲富氏自身の資金管理団体「いなとみ修二後援会」に寄附する場合は、上限などないことが分かっている。「特定寄附」とされるものだ。
古賀元選対本部長に対し、稲富氏の1,900万円は一括して資金管理団体に寄附できると指摘したところ、「でも、(会見で)記者は1,000万と言ったじゃないか」との言葉が返ってきた。
会見の折、新聞記者が年間1,000万円まで寄附が可能と言ったのは、間違いではない。しかし、前述のとおり公職の候補者が政党から受けた寄附については話が違ってくる。他社との話を言われるのはお門違いなので、特定寄附について説明したところ「それはいいアドバイスをどうも」として、稲富氏と相談すると明言した。残念ながら、分割返済の思惑は崩れたようだ。
さて、稲富氏の選挙余剰金についての話には何とか答えてくれていた古賀氏だが、記者が、ある別件の金について切り出した途端、満足な言葉が続かなくなった。「分からない」「覚えていない」「今すぐには答えられない」「会って話すことはいやだ」、あげくは「この電話に二度とかけてくるな」と要請まで受けてしまった。このあわてぶりはどうしたことだろう。
じつは別件とは、古賀氏が選対本部長を務めたもうひとつの大型選挙で動いた1,000万円の問題である。
(次週につづく)