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なぜ急ぐ?外国人地方参政権(下)
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2009年9月30日 08:00

 ただ民主党については、先の小沢氏はじめ、鳩山由紀夫、菅直人、岡田克也氏ら主な幹部はかねてよりの積極推進派。とくに岡田氏は08年1月、当時の小沢代表の肝いりで発足したといわれる同党の『在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟』の会長である。同議連は地方選挙権付与法案を国会で通すことを目的にしており、衆院29人、参院36人が参加している。
 鳩山内閣が出そろったときにメディアのさまざまな解説があったが、見逃されているのが参政権シフトの側面。それというのも鳩山総理、菅副総理はメンバーに名を連ねてはいないものの、岡田外相はじめ、千葉景子法相、藤井裕久財務相、川端達夫文科相、赤松広隆農水相、前原誠司国交相、小沢鋭仁環境相、仙石由人行政刷新相の8人が上記の推進派議連メンバーだからだ。つまり新内閣の閣僚18人中、社民党の福島瑞穂消費者・少子化担当相、国民新党の亀井静香郵政改革・金融担当相を除く民主党閣僚16人の半数が付与推進派。これに鳩山、菅、さらに福島の3氏を加えれば、内閣は圧倒的に推進派で占められている。
 小沢意向が報道されると、亀井氏が早速ブレーキをかけているものの閣内では多勢に無勢。小沢氏が小沢チルドレンをはじめとする新人議員たちを説得、推進派が党内多数を占めれば、通常国会への法案提出、可決もあり得る。しかし、外国人への参政権付与は国の在り方に関わる重大な問題。それをなぜ急ぐのか。
 過去にたびたび法案提出してもっとも熱心な公明党の狙いは、支持基盤の拡大。同様に民主党も来年の参院選を睨んでいるのは間違いない。しかし、参政権問題はそんなレベルで論じられる問題ではないだろう。
 国政と地方政治のネジレが何をもたらすか。典型は韓国が実効支配する竹島だ。島根県は「竹島の日」を制定して、自県領土であることを主張している。これは国政と沿ったもの。もし、島根で地方参政権をもった在日の人は、領有権を主張する本国との整合性をどう保つのか。さらに深刻なのは、在日の内部での意思統一だ。日本における地方参政権を求める運動がある一方、同じ在日のなかで在外韓国人の本国における参政権を求める運動があり、その成果もあってか2012年から大統領選、国会議員選挙への参政権が実現した。
 国政は本国、地方参政権は居住する日本などという二律背反が成立するはずはない。特別永住者自身にとっても不幸なこと。たとえば、韓国の国政に参加できたとして、もし義務として兵役に就くことが課された場合はどうするのか。これら矛盾に目をつむったまま永住外国人参政権問題を進められたら、私たち日本人自身が自己崩壊する。個人と国の在り方は同一でなければならない。それを承知の上で民主党政権が地方参政権付与を進めるのであれば、支持基盤拡大以上の何らかの目的があるはず。それを明言できなければ自公政権と同じ。日本郵政問題と同様、利権をAからBへ移し替えただけであることを国民は見抜いている。

(了)


恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。

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