中国・浙江省の中部に位置する義烏(イーウー)市。「小商品」と呼ばれる日用品・雑貨の卸売市場が多く立地し、世界最大の日用雑貨の集積地となっている。400万㎡という広大な市場には6万2,000もの売り場ブースがあり、ここを訪れる外国人バイヤーの数は1日に20数万人。
日本で一般にはまだあまり知られていない都市ではあるが、実は我々庶民との関係は意外に深い。それは、日本でおなじみの「百円ショプ」に並ぶ商品の多くは、ここ義烏から買い付けられているからだ。我々庶民にとって、強い味方である「百円ショップ」。そこの商品ラインナップを支える義烏は、知名度とは裏腹に我々にとって重要な都市なのである。
しかし、最近は義烏の企業にとって、日本はあまり良い商売相手ではないという。というのは、日本からの注文は、商品の品質に対して非常に厳しい注文がくる割に、売れる数自体は小ロットで価格も安いからだという。
代わって、義烏の企業にとって今一番「オイシイ」商売相手は、中東アラブ諸国やロシアなどだという。これらの国々は商品に対しての注文が厳しくなく、現状あるものを大量に買い付けてくれるからだ。義烏からみると、日本はもはや上得意客ではない、ということである。
しかし一方で、日本の商品に対する厳しさを見習おうという動きもあるという。現状に満足して売れるところだけに売っていたのでは、やがて国際的に商品競争力を失ってしまうからだ。自都市で、高付加価値のブランド力を持った商品をつくって世界市場で戦っていくためには、日本のような厳しさも必要だということで、市政府関係者や一部企業では日本に見習おうという動きもあるとのことである。現に水面下では、義烏と福岡市との間で経済協力関係を結びたいとの意向もあるという。
我々庶民のくらしを支える「百円ショップ」と、そのふるさととも言える中国・義烏。願わくば、これからも日本とのあいだに、友好的な関係を築いていってもらいたいものである。
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