今回も、引き続きグループ会社について説明する。
グループの中には人材派遣を行う会社もある。(株)ポータルは2000年に設立された人材派遣業者で、グループ内企業への派遣従業員の供給にとどまらず、一般企業への供給も行う。
他方、同じ人材派遣でも冠婚葬祭という分野に特化しているのが(株)ベルスタッフである。ただし、こちらは冠婚葬祭業で全国展開を図る長崎の雄(株)メモリードとの共同出資であり、出資比率は九電工55%に対してメモリード45%。従って、九電工の非連結子会社という位置づけとなる。従来の多角化経営の一環ではあろうが、冠婚葬祭業のノウハウを持たない九電工であるため、メモリード側の主導にならざるを得ないと考えられる。
婚葬祭事業に関しては、つい最近まで(株)九電工ネットプロデュースが手掛けていた経緯もある。かなり力を入れてブライダル事業を推進していた模様で、結婚相手紹介サービス「Qマリネッツ」を展開し、サンセルコビル(福岡市中央区)3階にはブライダルサロン「Qマリネッツ」も設営していた。しかし、会員集めや成婚実績の不振から、結婚相手紹介サービス「Qマリネッツ」を09年3月31日に閉鎖。ブライダル事業からの撤退を余儀なくされた。そのため、従来から行っていた通信販売サイト「いいもの1616」の運営や、07年に九電工が福岡市の第3セクターから譲り受けた「ベイサイドプレイス博多」の管理・運営にシフトしていかざるを得ない状況となっている。
そのほか、北山カントリーを運営する九電工北山観光(株)、鹿児島中央駅そばにホテルを運営する (株)スリーイン、医療分野で活動する(株)ネットメディカルセンターなど、同グループの事業領域は多岐にわたる。なお、○○コミュニティーサービスという名の企業群は、主にPFI方式を用いた公共事業を受注するための特定目的会社である。
かかる多角化経営は、主に河部氏が社長時代(現在は会長)に興したものであり、その尽力は確実にグループの拡大に寄与した。しかし、先に挙げたブライダル事業など、新規事業の状況は必ずしも良いものばかりではないのも確かだ。社長の橋田氏は各メディアのインタビューにおいて「選択と集中」を打ち出しており、今後は関連会社の統廃合が進むものと予想される。
(つづく)
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