治安(1)
外国で生活していて気になるのは、やはり治安の問題である。どこに行ってもスリはいる。先日紹介したセネガルに行った際には、下着を無理やり買わせようと不自然に寄って来た男に気を取られ、危うくポケットに手を突っ込まれそうになった。その時は手を叩いて、「警察を呼ぶぞ」と言うと相手はニヤニヤ笑ってどこかに行ってしまった。スリは現行犯逮捕が原則なので、未遂に終わってしまうと警察にも突き出せない。
また、フランスでヴェルサイユ宮殿を観光中には、私のコートのポケットに見知らぬ財布が入っていた。びっくりして係の人に財布を渡したのだが、中のカードは無事だったもののお金は全て盗まれていた。私に被害はなかったが、まさか現金を盗まれた財布が自分のコートにあるという事態は初めてだった。スリにはかなり気を使っていたのだが、どこで財布を入れられたのか全くわからなかった。ちなみにその日、ヴェルサイユ宮殿では4件のスリ被害が出ており、そのうちの3件は日本人が被害者だったそうである。
南米も治安が悪い地域として有名である。南米のベネズエラで仕事をしていた私の知り合いの5名の隊員は、全員が銃を持った強盗に遭っている。派遣されて3日目に、ホテルの部屋からパソコンや生活用品一式を持っていかれた人もいれば、メキシコを旅行中に数人から囲まれ、金目のものを全て持っていかれた人もいる。
話は変わるが、最近被害が増えているのが、太平洋の島国だそうである。地上の楽園というイメージが強いのだが、移住者が増えて治安が悪くなっているという。特にパプアニューギニアは、青年海外協力隊の派遣先としては治安の悪い国として有名である。ホテルで荷物を運んでくれるボーイが、突然物取りになるという。また、部屋に荷物を置いていても、鎖でがんじがらめにしていないかぎり、掃除をしにきた従業員が持っていってしまうという。
外国を旅行する際は、(1)大量の現金を持ち歩かない、(2)持ち歩くとしても現金は分散する、(3)財布を持ち歩くとしたら、かばんの奥に入れておく、(4)バッグは内側で抱え込むように持つ、(5)パスポートは肌身離さず持っておく、(6)常に自分がスリに遭うかもしれないという意識を持つ。この点を十分に押さえた上で行くのがベストである。こんなにいちいち考えないといけないか、と思う人がいるかもしれないが、外国に行くとバカンス気分で緩んでしまうので、これぐらい気を引き締めるぐらいがちょうどいい。
次回はニジェールの治安事情について解説する。
【廣瀬】
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