本多機工(株)
所在地:福岡県嘉麻市山野2055
設 立:1951年9月
資本金:9,000万円
業 種:産業用特殊ポンプ製造販売
順風満帆に見える同社ではあるが、これまで問題が無かったわけではない。グローバル市場を相手にすると、コピー商品を作られることがあった。たとえば、同社が世界最高レベルを誇り、大手タイヤメーカーなどで多くの実績を持つ、ゴムを移送する「ラテックスポンプ」。
かつて、この商品に不具合が生じたとの連絡があり、確認作業を行なった結果、模倣品であることが判明した。真似をされたことに対して「非常にやり切れない気持ちであった」ことは事実。しかし、発展途上地域では、模倣から商品を開発することが前提であると割り切り、逆に「真似ができるなら真似をしてみなさい」というスタンスで、さらに良い商品開発に取り組んでいる。
ある意味では、同社だけでなく、世界中のポンプメーカーの技術力に影響を与える存在になっているとも言える。
<ポンプは本多機工へ>
07年10月、日刊工業新聞社が主催する「ものづくりフェア」に、水に命を吹き込む新技術として「大容量マイクロナノバブル発生装置」を出展した。これは、ポンプの技術を応用した水のリサイクル装置である。これまで、マイクロナノバブルの効用は実証されていたが、大規模処理を可能とした画期的な装置であった。この装置を使用することで、油水分離、浮上分離や脱色プロセスが効率的に実施でき、エンジンメーカーや製紙工場からの引き合いが増加している。この装置は09年10月21日から行なわれる「びわ湖環境ビジネスメッセ」にも出展される。
この装置の開発の経緯もポンプと同様、顧客の悩みを解決することから始まった。妥協せず開発した結果として完成したものであり、同社の経営方針を裏打ちしたかたちである。
同社の今後の方針について、龍造寺社長は次のようにコメントした。トータルソリューションを提案―ポンプのことなら本多機工へ。その一環として、デンマークにあるポンプメーカーの日本法人と提携、これまで手付かずであった汎用品も扱うことにした。しかし、あくまでもこれまで通り、顧客の悩みを解決し続けることに変わりはない。
流体に関する専門家が減少しているなか、同社は創業時から変わらぬ「縁の下の力持ち」であるポンプに特化することで、大きな市場を相手に邁進することが期待される。
【新田 祐介】
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