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特別取材

天神プレイスをやずやHDが購入 騒動から1年半、田中社長の胸中を聞く(1)
特別取材
2009年10月 7日 08:00

(株)アーム・レポ 代表取締役 田中浩和氏
(株)アーム・レポ 代表取締役 田中浩和氏

 (株)アーム・レポがプロデュースし、2008年3月に竣工後、なかなか売却先が決まらなかった天神プレイス。今年9月30日、地場通販業界大手の(株)やずやホールディングスが購入したことで一連の騒動に終止符を打った。売却まで1年半。その長きに渡る売却交渉からようやく解放された同社代表取締役・田中浩和氏に、その胸中をうかがった。

(聞き手:弊社代表 児玉 直)

所在地:福岡市中央区今泉1-2-30
設立:1987年11月
資本金:4,000万円
業種:総合プロデュース
年商:(08/11)24億6,482万円

<今泉再開発構想と合致>

 ―いやー、まずは無事売却が決定しておめでとうございます。

 田中 ありがとうございます。(一連の金融危機などを経て)マンション業界の市場規模が5分の1まで縮小されるなかでこの日を迎えることができて、本当に良かったと思います。そしてありがたいです。今回の件は、施工した大成建設さんの協力があり、やずやさんのご理解があった。我々としてはいろいろな方々にご迷惑をかけていますが、ひとつひとつ良い物を作っていけば、最後にはMAXの評価が得られるんだという自信にもつながりました。

 ―具体的に、売却に至った経緯について伺います。

 田中 やずやの矢頭会長ご自身の最後のライフワークとして、この物件を買いたい、ここで街づくりをしたいという思いが、双方で一致したことが今回の売却につながりました。大成建設さんのような大企業と組ませて頂いたこと、そして認めていただいたという点がとても大きいと思います。

 ―天神プレイスの現状を教えてください

 田中 オフィス部門に関しては100%、賃貸アパート部門は85%が入居しています。ビジネスホテルも65%の稼働率で推移していますが、テナントに関しては数ブロック空いている状態が続いています。テナントの入居希望者は多いのですが、最終的に銀行の融資が受けられずに話が流れることが多いのが現状ですね。

 ―御社は今後も天神プレイス事業には関わっていかれるのですか。

 田中 もちろんです。今後もこのプロジェクトには随時関わり、メンテナンスもさせていただきます。空きテナントを含めて、うまくバランスの取れたものにしていきたいと思っております。

 ―施工から1年半が経ちますが、その間、マンション創成期の先輩方が次々に倒産していきました。途中で投げ出したいと思われたことはありませんでしたか。

 田中 こういう時だからこそ、自分の会社の信念を貫かなければいけないと改めて感じていました。前回のバブル崩壊の時は、資産転売による売買益を得るキャピタルバブルでしたが、今回は土地の有効活用による収益のインカムな部分で、前回よりも早いスピードで進んでいます。金融機関も総量規制を行なうなどしたため、対策が取りにくい部分が大きくありました。今回の件は、大成建設さんが再建スキームを作って下さったおかげで売却につながりましたが、個人的には、一つの自分のケジメとして趣味のゴルフを辞め、仕事に没頭しました。

(つづく)

【文・構成:矢野 寛之】


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