治安(2)
それでは、ニジェールの治安はどの程度のものか。実は、ニジェールはアフリカ諸国のなかでも、おそらくベストファイブには入るほどの治安の良い国である。女性が一人で歩いていても襲われない、という稀有な国である。とはいっても、日本人の住む家は2メートルはある塀に囲まれており、そこでないと生活できない。また、自宅に警備員を付けることが推奨されている。義務ではないのだが、ほとんどの隊員が警備員付きの家に住んでいる。
隊員がいないときや、寝ているときに起きて家とその隊員を守るのが警備員(フランス語でガルディアンという)の基本的な仕事だ。しかしここはニジェール。治安が良いのか国民性なのか、深夜になると警備員は寝てしまう。ひどい時は、隊員が警備員を起こすという時もあるという。ちなみに、これらの警備員たちは、警備員として教育を受けたわけでもないごく普通の人である。
代々隊員が入っている家には、警備員が家族で住んでいる。だから、隊員に日本語を教えられた警備員は、日本人が帰ってくると「おかえり~」と微妙なイントネーションで挨拶してくれる人もいたりする。ほぼ家族同然での生活だ。本業をやるかたわら、家の前で喫茶店を始めたり、近くでバイク修理の手伝いをやっていたりと、副業をやっている人も多い。
とある人は、警備員が深夜に寝てしまい、泥棒に入られてパソコンを盗まれてしまった。警備員がいるから100%安全、というわけではないのである。それだったら警備員は要らないわけで、当然のことながら解雇した。すると、それは不当な解雇であると、逆に訴えられたそうである。なんでも半年の雇用期間の半ばで契約を切られたので、残りの雇用期間の給料を支払え、と言ってきたそうである。しかも、書類の不備で日本人側が負けてしまった。
近年はニジェールでも、強盗の被害に遭う人が増えつつある。国連関係者が早朝にマラソンの練習をしていたら後ろから首を絞められたとか、出勤中に、後ろから羽交い絞めにされ、ナイフでかばんの紐を切られて荷物を奪われたなど。さらには半月刀で斬り付けられたという話まである。まだ銃はそれほど広まっていないのが救いである。
海外は楽しいが、特に治安には十分に注意したい。そのためには、日頃から頭の片隅にでも、泥棒への注意を怠らないことを肝に銘じながら、生活していくことが必要である。
~つづく~
【廣瀬】
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