(株)アーム・レポ 代表取締役 田中浩和氏
所在地:福岡市中央区今泉1-2-30
設立:1987年11月
資本金:4,000万円
業種:総合プロデュース
年商:(08/11)24億6,482万円
<売り出し1カ月で3割が完売>
―厳しい状況のなかでも、オークラ横の開発物件は好調のようですね。
田中 アメックス博多ベルテックステージは、売り出してから1カ月ちょっとで95戸中30戸は契約済み、申込ベースでは40戸ほどいただいております。建物には博多織の図柄、エントランスには博多絣、山笠の掻き棒をイメージしたデザインを施しています。地域文化を理解して下さる方が多いというのが印象ですね。
―田中社長のみならず、苦しい状況ながらも社員の方々が歯を食いしばって頑張っておられるんですね。
田中 とてもありがたいことで、社員には恵まれています。アメックス博多ベルテックステージは、今まで姪浜から博多駅エリアのアパートへ社員が4回、チラシを投函して回りました。他の販売物件もそうですが、社員が一生懸命頑張ってくれるから、今回のような事態になっても乗り越えることができたと感じています。
<アーム・レポの今後>
―天神プレイスが一段落しました。今後の仕込み物件などは。
田中 現状としては2、3社からお声掛けをいただいており、良い案件があれば進めて行きたいと思っています。しかしながら、福岡のマンション市場は現在4,000戸と言われており、厳しい状況に変わりはありません。下手をすれば、予想の半分の2,000戸市場になるとも言われています。福岡の市場は4,500戸あっても良いマーケットで、今後は家を持ちたいという人たちの需要をいかに引き出していくかが課題だと思います。
―御社の今後についてはいかがでしょう。
田中 これからは不動産業の多角化がキーワードになると思います。弊社としては創業当初の販売代理業を含めた事業も計画に入れ、不動産の仲介を含めて、仕事があれば何でもやる所存です。当分の間は今の経済状況を鑑みて、3カ年計画のもとに事業を進めて行きます。そのなかでもマンション事業に関しては、場所だけでなく、価格、プランといった3つのバランスがあってこそ価値ある物件ですので、足りない部分を見直していくことにより、弊社のこだわりも認めていただけるのではないかと思います。
―厳しい現状のなかで、なりふり構わず頑張っていかれるということですね。今日はどうもありがとうございました。
<取材後記>
取材を通じて、田中社長の顔から時折、笑みがこぼれた。まさに「想像を絶する苦しみ」から解放されたという印象を受けた。天神プレイスの施工から1年半の間、趣味のゴルフを封印してまで仕事に没頭したストイックな経営姿勢が、施工した大成建設の関係者、やずやの矢頭会長にも伝わったのだろう。自分たちの信念を貫き、ただやみくもにマンションを建てるのではなく地域性にもこだわったその結果として、この厳しい状況をしっかりと生き抜いている。同社の強みを改めて感じたインタビューであった。
【聞き手:弊社代表 児玉 直、文・構成:矢野 寛之】
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