2009年8月30日、衆議院議員総選挙で民主党が308議席を獲得して悲願の政権奪取が実現、我が国の政治史を塗り変えた。しかしその影では、福岡2区で初当選を果たした民主党・稲富修二衆院議員の、07年福岡知事選での政治資金流用疑惑が浮上。知事選当時に、ポスター・ハガキなどの企画・制作を手掛けた広告代理店(株)英広社を巻き込んだ大問題となっている。
代表者:三浦 弘二
本 社:福岡市中央区大手門2-2-11
設 立:1997年5月
資本金:2,000万円
業 種:広告・企画ほか
<稲富陣営からのオーダー通り企画・制作>
当時、政治活動用ポスターなどのツールの制作を手掛けたとする英広社代表に、直接取材を実施した。この1,235万5,611円の領収書にあるポスターやハガキは、何の目的で制作されたものか、という問いに対しては「稲富氏の選挙活動用のものではなく、民主党の政治活動用のツールである」。さらに、「選挙期間中のポスター・ハガキではないのか?」との問いには、「それは違う。私は長年政治団体に対するPR活動のお手伝いをやってきましたから、選挙のプロフェッショナルではありませんが、公職選挙法に基づいて行なっている。こちらは稲富陣営からのオーダー通りに企画・制作して納品し、そして請求を立てる。通常の商取引と同じです。当然、用途(政治活動・選挙活動用)に分けて請求先も分けている。ただ、請求先は分けてもお金の出所は1カ所。だから、当時の選挙対策本部長がマネジメントするのが当然です。請求書は当然保管し、支払いに関する仕分も行なっているはずです。よって1,200万円強が選挙活動費用かどうかは私には分からない。何度も申し上げますが、当社は稲富陣営から言われた通りに制作し、納品し、請求し、入金された。ただそれだけのことです。当社としては特に何もありませんし、恣意的なことも何もない」と回答していた。
しかし、一時的な政治資金流用額が約2,000万円ということが新たに判明していたため、同社に「請求額は約2,000万円ではないですか」という質問を投げかけたところ、「そうです、約2,000万円です。支払いが滞っていたので、何度か稲富氏側に催促致しました。約1年後に入金されました。その金がどういう資金であるのか分かりませんが、約700万円は別の稲富氏関連の団体への請求です」と回答。続けて「詳しいことは分かりませんが、当時の選対本部長がいい加減だったのでしょう。選対本部長は選挙のプロフェッショナルでしょう。知らないでは済まされないでしょう。普通はしっかりしているのですがね」とコメント。
稲富氏のことはさておき、このような政党お抱えの専属広告代理業もいかがなものだろうか?
選挙で敗北すれば、焦げ付きのリスクがつきまとう。その上、『一蓮托生』と周囲から見られ、不必要な嫌疑を掛けられる可能性もある。お勧めできる事業ではない。
【河原 清明】
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