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中小・零細企業等を対象にした債務の返済猶予制度とは
最新金融情報
2009年10月14日 08:51

 政府は10月9日、中小・零細企業等を対象にした債務の返済猶予制度(以下、制度と言う)の骨格を発表した。
 この制度は、民主党政権がマニフェストに謳っていたものであるが実施された場合の中小・零細企業等、金融機関に対しどのような影響を及ぼすのかを検証してみることとした。

1.制度の骨格内容
 対象となるのは、中小・零細の企業等であり、貸し手は銀行や信用金庫、信用組合などの預金取扱金融機関である。返済猶予の一律適用は見送られ、借り手の返済猶予申込により金融機関が収支改善計画、返済見通し等を審査し対応するものである。大塚耕平金融担当副大臣(以下副大臣)は、救済方法について「貸付条件の変更等」と述べており元利金の返済猶予に止まらず、金利の引き下げや返済期限の延長、債権放棄等借り手に有利な契約変更を幅広く検討する考えを示唆している。しかしながら当然、金融機関の審査により返済猶予制度を適用されない企業が相当出てくることが予想されている(地元金融機関)。

2.多過ぎる問題点
 最終的には国民の負担が増加するとの見方もある
  副大臣は債務返済のコスト負担については明言を避けているが亀井郵政・金融担当相らは、借り手が返済猶予中に破綻した場合、国が損失を補填することを検討している。返済猶予を受けた企業の再生は非常に厳しく(地元金融機関)。最終的には国民の負担が増加することが懸念される。

 返済猶予中の企業に対する新規融資は困難
 金融常識からすると、返済猶予とは、現状の資金繰りでは既往の借入金の返済が厳しいことから行なうものであり、そういう状態の中で新規融資が採り上げられることは先ず困難である。

 問題の先送りでしかない返済猶予制度
 依然として、中小・零細企業を取り巻く経営環境は厳しく、年末には倒産の多発が懸念されている。返済猶予制度の利用により、倒産件数の抑制が期待されるかもしれないが問題の先送りでしかなく抜本的な景気回復策が待たれるところである。

 銀行株に対する見方が一層厳しくなり国際的な信認低下に繋がる
 政府は銀行が元利金の返済を猶予した場合でも不良債権と認定しないことにして不良債権基準を緩和する方向にある。
 具体的には金融検査マニュアルの弾力化である。現在、銀行が債務者の経営再建や支援を目的として、金利減免や元利金の支払猶予などの措置を取った債権については「貸出条件緩和債権」として不良債権に区分されている。金融庁は昨秋の金融危機後の信用収縮に対応するため、「貸出条件緩和債権」の適用除外ルールを緩和している。従来は3年以内に経営改善が見られない限り不良債権と認定したが、10年以内に経営改善の見込みが立てば不良債権としないことにしている。(平成20年11月7日付、中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置(概要)は次のとおり。

中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置"

 現在浮上しているのは、この「10年ルール」を時限的に凍結し、ほぼすべての貸出条件緩和債権を正常債権として認定したり、利息の一部を支払っていれば、正常債権として認定する案である。
 しかしながら、海外投資家から見ればこのような対応が銀行株に対して厳しい見方をされるのは必至である。

【久米一郎】


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