抜本的改革2
業績不振により、山水建設もあらゆる対応策を打ち出している。
構造改革と称して本社部門・工場部門の間接要員を現場部門へ配置転換することを実施している。その配置転換先は、工事部門の子会社、リフォーム部門の子会社、不動産部門の子会社などだ。とはいえ、まだまだ道半ばで、もっと実行せざるを得ないだろう。
社員も会社の業績を心配している。現状のままでいい、と思っているのは一人もいないだろう。心のなかでは「やむなし」と思っている。
だからこそ、トップとしての配慮が必要なのである。
斎藤社長が構造改革推進の責任者であるが、裏でやらせているのは坂本会長である。その坂本には「痛み」を共有する気持ちが全くない。利益を追求するあまり、人間を、社員を単なる道具としてしか見ていないように思える。「痛み」はまず、経営者、役員が真っ先に受けるべきではなかったか。
業績悪化は経営者・トップの責任としてはっきり認識し、それなりの責任を明確にしたうえで協力を頼めば、社員の受け取り方は違っているはずだ。経営者が、自分たちは「離れですき焼きを食べ」ながら、「母屋にいる人たち」に「経営がしんどいから、前線に出て、苦労してくれ」と言っても、納得がいくはずもないだろう。それに、付け焼き刃のように経験のない中高年の人間を第一線に送り込んだところで、多くの成果は期待できないのではないか。これでは、暗に体のいい人減らしを目論んでいるのでは、とも疑いたくなる。
企業理念はどこに行っているのだろうか。企業理念も理解もできないトップが、「我が身だけ良い目に会えばいい」という考えでやっているかぎり、口でいくら綺麗ごとを唱えても、誰も聞く耳は持っていない。
(これはフィクションであり、事実に基づいたものではありません)
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら