―今回の件を受けて、保健所が業者を集めて製造年月日に関する説明会を実施していますが。
日高 その模様はテレビで報道されました。しかし、その場で保健所は「パック詰めした日が製造年月日」と説明しました。テレビのテロップでもそのように出ました。「製造日が製造年月日である」と先に回答した保健所の見解とは異なるため、抗議しましたが回答は得られていません。
―そもそも、製造年月日を定義するのは難しいのでしょうか。
日高 難しいです。自社で原材料の加工からパック詰めまでを一貫して行っている場合は分かり易いですが、加工を委託している、またはパック詰めを委託している場合があります。しかも、「ふくカレー」などはカレーの製造は委託先であり、ふぐの加工は自社で行なうと、どちらの製造日なのかという疑問が生じます。また委託先が他県や遠方であることも考えられます。
製造年月日の定義はふぐ業界だけでなく、食品業界全体をも揺るがす問題に発展する可能性があるので、定義を明確にすること、そしてその定義を書面で通達することが早急に望まれます。
―そうすると、代々受け継がれた100年継ぎ足しの「秘伝のタレ」なども製造年月日に抵触する可能性がありますね。
日高 そうです。製造年月日は100年前なのか、と疑問が生じますからね。ただ、こういったことは食品業界では伝統的に行なわれてきました。今回の「偽装」のきっかけとなった横浜の件も、当社の商品からは有害となるものは一切検出されていません。
―「偽装」事件の後、販売中止や自主回収などで売上は落ち込んだ結果、これまでの販売先との関係と今後の御社の方針はいかがでしょうか。
日高 当社は改善報告書を農水省へ提出、そして受理されましたので、これに従うのみです。販売先へは今回の事情を真摯に説明をし、理解をしていただきましたので、信頼関係は徐々に回復しつつあります。また、銀行は協力的ですので、資金的には問題はありません。こういった事態に陥った当社ですが、80名の社員はリストラせず雇用しています。しかし、諸問題をクリアし、完全に回復するには1~2年は掛かると見ています。
【特別取材班】
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