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特別取材

フード市場は時代のニーズで動く。 中食業界 見えてきた大きな可能性(1)
特別取材
2009年10月14日 11:47

 昨年発生した経済危機は一段落したが、景気の先行きは依然として不透明と言わざる得ない。期待が大きい年末商戦も、冬のボーナスは大手までが「厳冬査定」と回答したため、個人消費の回復は望み薄だ。
 こうした中、薄日が差しているビジネスが中食産業である。消費者はお金のかかる外食を控える一方、料理の手間が省けることで、弁当や総菜の売れ行きは好調だ。先行する持ち帰り弁当に続き、大手流通業も続々参入し、激戦の様相を呈し始めている。

1. フード産業における中食の位置は

(財)外食産業総合調査研究センターによると、2007年の外食産業は、リーマンショック以前の好調が影響して増収増益となった。
 市場規模は企業の接待交際費が改善し始めたこと、世帯1人当たりの外食支出が増えたことなどで、約24兆7,000億円にも達したが、前年比伸び率は0.2%と微増だった。
 そのうち、飲食店は12兆4,800億円。内訳はファミリーレストランや定食屋、ラーメン店、焼肉店などの「食堂・レストラン」が対前年比0.6%増。「すし店」、ファーストフード店、お好み焼き店など「その他の飲食店」はそれぞれ同0.1%増だった。
 これに対して、持ち帰り弁当店や惣菜店、テイクアウト主体のファーストフード(テイクアウトの売上げ比率が50%以上)などの中食関連の市場は、約6兆2,100 億円で、対前年比0.5%増と大健闘している。
 これはアパレル産業と比べると勢いの差は歴然としている。アパレルの市場規模は2000年に9兆6,000億円(日本アパレル産業協会)だったに対し、2009年は7兆1,000億円と10年で26%も減少。協会は百貨店の売上げ減少に歯止めがかからないことから、2010年は6.8兆円まで減少すると予測する。   
 中食を取り巻く環境はアパレルと比べ、晩婚化やライフスタイルの変化、健康志向、安全性など、はるかにプラス材料が多い。それらを見ると市場拡大の余地は十分あるようだ。

 ◎米国流HMRの登場で一気に浸透

 そもそも中食は共働き夫婦が多い米国で発展を遂げた。妻が働くと料理を作る時間がなく、夫では料理がうまくできず、さらに後片付けも大変。外食するには費用が高く、チップ等の余分な支払いが生じてしまう。
 それに対し、中食なら外食並のおいしい料理を手軽に、安く食べられ、しかも家族と団欒の時間を多く持つこともできる。
 90年代半ばには、米国のスーパーマーケットが単に食品を売るのではなく、調理時間の短縮やメニュー提案、栄養管理など食生活全般にかかわる様々な問題に対応するMS(ミールソリューション)いう戦略を打ち出した。
 一方、外食産業も良質で温かみのある食事を通じて消費者に安堵感を提供しようと、総菜など調理済みのものを売り出す「家庭料理に代わる食事/HMR(ホームミールリプレイスメント)」に乗り出し、中食はビジネスモデルとして完全に市場を確立していった。
 日本でも90年代後半には働く女性の増加や高齢化の進展などにより、食を取り巻く環境が変化。そのため、百貨店やスーパーマーケットがこぞってMSやHMRの考えを導入。現在ではスーパーはもちろん、百貨店でも売上げの核に成長している。
 さらに2000年代に入ると、持ち帰り弁当の専門企業が続々と市場に参入し、都市部ではランチ需要の争奪戦争が勃発。昨年の経済危機以降、消費者の節約志向も相まって、栄養のバランスがよく、価格も手頃な弁当は外食市場まで侵食する存在になっている。

(つづく)
中食のメニューは日々進化し、完全に市場を確立した

【剱 英雄】


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